15帰宅
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んもそれで良くなった」
「でも」
だからと言って、祐一と香里がそんな事をするのを黙って見送るなど、一人の女としては耐え難い事。栞のように、恋人と姉が愛し合うように勧めるなど、魔物が憑依していなければ、口には出来ない言葉であった。
「香里だって、昨日は歩けなかったのに、今日はここまで自分で歩いて来た。何日かしたら治るから、それまで待ってくれ。二人で喧嘩するなら、その後でいいだろ?」
そこでつい、力を緩めてしまった名雪から祐一が離れて行く。靴を履いて、扉を開いて出て行くのを見送ってしまう。それは親友の命を助けて欲しいと思う心がそうさせたのかも知れない。
「ゆういちっ!」
靴下のまま、玄関の外まで飛び出して祐一を呼び止める。
「昨日、秋子さんも言ってた、俺で直らなかったら名雪を行かせるって。俺達にはヒーリングだか何だか、そういう力があるらしいからな。でも力を吸い取られるみたいに体力が無くなるから、俺の力が無くなったらお前が行ってやれよ」
「うん……」
秋子の言葉を思い出し、親友の命が助かり、また仲直りできるように願いながら、名雪は祐一を見送った。
「うぐぅ、栞ちゃん婚約しちゃったよ」
(幸せになれるはずがないよ、姉と恋人を共有なんてね)
「だめだよ、幸せにしてあげないと」
自分が使った奇跡の結果、栞が助かったはずなのに、折角の成果を自分で潰すのには耐えられないあゆ。
(じゃあ、栞ちゃんの命は助けてあげるよ、昔、世話になったし)
天使の人形にも複雑な事情があるらしい、自分を構成する祐一の願い、その中には栞に対する願いも含まれていた。
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