13香里VS栞
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おとうさんとおかあさんを呼びに行こうとした。
「どこに行こうって言うのっ、祐一〜〜っ!」
香里の爪が腕に刺さり、シャツの袖に血がにじむ。
「ひいいっ!」
「逃がしません」
モンスターにまわりこまれた、ゆういちはにげられない。
(いや〜〜っ!)
すでに栞も香里も、何かに取り憑かれたように、別人になっていた。とても女とは思えない力で引っ張って行かれ、窓からフリーダイビングさせられそうになる祐一たが、同じ力で栞に引き止められ、左右に千切れそうになる。
(嗚呼、こふやって、手が取れてしまふと、香里君はあきらめてくれるのだね)
どちらも手を離してくれそうにないので、大岡裁きは期待できなかった。
「じゃあ、電話の後は、どうして抵抗しなかったんですか?」
「あたしが好きだからに決まってるでしょ? ねえ、祐一っ!」
「いや、それも、香里にのし掛かられて、無理矢理……」
「女の力に負けるはずがありませんっ」
ザシュウウッ!
(キャイインッ!)
真っ二つに切り裂かれた可哀想な枕、しかし、昨日の夜は明らかに香里の方が力も強く、ベッドに捻じ伏せられ、乱暴されたのも祐一だった。
「ひどいっ、あんなに何度も愛し合ったのにっ! キスだっていっぱいしたじゃないっ、それにあんな恥ずかしい事だって、祐一だから我慢できたのよっ、それに苦くって生臭いのも、祐一のだから飲めたんだからっ!」
「ヒッ! 生臭い? 飲んだですって?」
始業式以降も、何度かチャレンジして、恥ずかしくて目も開けられず、ソッチは未遂に終わっていた栞ちゃん。それに比べ姉の方は最後までイって、あまつさえ飲んじゃっていた。
「ええ、「大人の味」ってやつね、あんたみたいなガキにできないでしょっ!」
「祐一さん、私にしない事までさせてたんですね?」
栞の口から、ギリギリと歯を噛み締める、恐ろしい音が聞こえた。次回はきっと噛み切られるに違いない。
「いや、それも一人になるのが怖かったみたいで、トイレにまで付いてきて、個室に連れ込まれて無理矢理」
「嘘よっ!」
あの記憶すら、香里ちゃんの中では、「美しい愛の思い出」に変換されちゃっていた、今のラブラブ香里ちゃんには、オラオラ香里ちゃんの記憶は無いらしい。
「それに昨日の約束って何ですか? このお姉ちゃんが、夢とか幻って言うぐらいですから、きっと凄く嬉しい約束だったんでしょうねぇっ!」
(もう勘弁して下さい……)
血糖値でも下がったのか、肩が外れそうなのか、ガクガクと足を震わせる祐一クン。
「ええ、そうよっ、あんたの見てる面白く無いドラマなんかより、よっぽど凄かったわ、どこかの「奇跡の1週間」を一晩に詰め込んだぐらいかしらっ?」
「くっ!」
チキチキチキッ!
恐ろしく嫌味の篭った言い方をされ、栞のポケットの
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