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KANON 終わらない悪夢
13香里VS栞
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そこで栞の表情が一変し、真っ黒の斜線が入った顔の中で、目だけが赤く光っていた。
「祐一さん、「車椅子」の「恥ずかしい」「二人乗り」って何ですか?」
 やはり香里と同じで頭も良いらしく、断片的な情報だけで、昨日の状況を的確に推察する栞。
(はうっ、今までは周りの目を気にして、まともに振舞ってただけなのか?)
 祐一的定理その1、「栞は世間体を気にする」が、図らずも証明された。
「あ、ああ、まだ手足に力が入らなかったみたいだから、俺も乗って落ちないように押さえてたんだ」
 そんな栞にはとても、「香里が上から座って、とっても柔らかかった」とか、「心臓がちゃんと動いているかどうか聞かれて、二人とも泣きながらしっかり抱き合った」とか「髪の香りが芳しくて誉めたら、切った髪を遺髪としてプレゼントされ、二人の愛を育んで行った」とは説明できなかった。
「それならベルトでもして祐一さんが後ろから押した方が安全じゃなかったんですか?」
「うっ」
 息継ぎもせずに、抑揚の無い魅力的な低音で言われ、「うぐぅ」の音も出ない祐一。
「それと昨日からずっと聞きたかったんですけど「10ヶ月持ったら子供産む」ってどう言う意味ですか?」
 この質問も、お昼まで待ってくれなかったらしい。
「いや…… それは、言葉のあやで、希望が持てるようにって、よくあるだろう?」
「ありませんっ」
 ザシュッ!
(うっ!)
 祐一が仮眠する時に使った枕に、栞の手刀が叩き込まれると、何故か祐一の頭も割れるように痛んだ。
「ねえ、希望が持てるようにって何っ? あたしとは遊びだったの? それともあたしをオモチャにするための嘘だったのっ? ねえっ!」
「いや、そうじゃなくて」
 両方からステレオで攻撃して下さる美坂姉妹。アルトの栞、ソプラノの香里のハーモニーが素晴らしかった。
「お姉ちゃんは黙っててっ! じゃあ、「お前と一緒なら地獄に落ちてもいい」って何ですか?」
 ゴリッ、ゴリッ
 まるで枕の内臓を掻き出すように、中をほじくっている栞、もちろん祐一君も、お腹の中がキリキリと痛んだ。
「それも、ドラマとかで、よくあっただろ?」
「ありませんっ」
 ザシュッ!
 室内に枕の白い内臓?が飛び散る。
(はうっ!)
 もちろん祐一も、まるでお腹の中身が引きずり出されるように痛んだ。
「あれもドラマのセリフだったのっ? じゃあ、あたしって何? ただのバカ? 祐一の慰み物にされただけなのっ? ねえっ、答えてっ!」
「違う、違うだろっ」
 もちろん香里に伸し掛かられて乱暴にされ、一晩中慰み物にされたのは、祐一クンなのは間違いない。
「うるさいっ、黙ってろって言ったでしょっ!」
「何をっ、偉そうにっ!」
 次第にエキサイトして行く美坂姉妹の戦い、祐一クンはBダッシュで、
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