13香里VS栞
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え、祐一がお願い聞いてくれるから」
「そうかっ、分かった」
両親はすぐに、看護婦詰所まで走って行った。
(いや〜〜〜っ! 待って下さ〜〜〜い!)
祐一君の心の声は両親にも届かなかった。
『やっ、香里ったらラブラブ、何て相談したのかしら?』
『ついに自分に正直になった、ってとこ?』
『うわーー』
朝っぱらからラブシーンを見せられ、ヒューヒュー言っている3人。
「なあ、あの3人、お前が呼んだのか?」
1年の頃の友達なのか、祐一の知らない顔も混ざっていた。
「別に呼んだんじゃないけど、朝に「お別れの電話」しただけよ」
それは「今から自殺するから、来てくれないと死ぬ」と言ったのも同然だった。祐一は自分が睡魔に負けて、香里を一人で泳がせたのを後悔した。
「他には誰に電話した?」
「え? 祐一が知ってるのは北川君ぐらいよ、他は別のクラスの女子だから知らないでしょ」
名雪に続いて犠牲になった北川他数名を想像し、哀れに思う祐一。しかし、光より早い女の噂は、すでに3年の間を駆け巡り、1時間目終了と同時に学校を揺るがす事件へと拡大していた。
「悪いけど、誰か北川に伝言してくれないか?」
「いいけど、北川君、凄い目付きしてて、朝来たらすぐ、先生に連れて行かれちゃったそうよ」
すでに手遅れだったようなので、がっくりと肩を落とし、何か間違いがあったのかと心配する。
「じゃあ、もう遅いかも知れないけど、香里は大丈夫だから早まるなって、言ってくれないか」
「うんっ、みんなにも知らせて来るねっ」
香里が元気になっていたので、少し安心して学校に戻ろうとする友人。しかし、「今の香里の状況」を北川に教えたりすると、さらに早まった行動を取るのは間違いなかった。
「ほらっ、あんた達もっ」
「ええ、私達、「お邪魔」みたいだし、そっちもみんなに教えておくわね」
「何っ!」
「ええ、いいわよ」
驚く祐一と違い、まるで噂を広めるよう頼んでいる香里の態度。
「香里っ、元気出してね、「ふぁいとっ」だよ」
帰り際、昨日の事情を知らないのか、名雪語で励ます少女もいた。
「ええ……」
その後、学校には「奇跡の恋再び」と言った吉報だけでなく。
「あの香里が、「相沢君」から「祐一〜(は〜と)」になって、ラブラブだった」とか、
「もう夫婦みたいで、香里が取り乱しても、優しく頭を撫でて落ち着かせた」とか、
「相沢君ってヒーリング能力があるのよっ」とか、「妹と修羅場だった」など、どんどん尾ひれが付いて、女の噂が伝播して大変な事になるなど、男の祐一が知る由も無かった。
「ははっ、やっと静かになったな」
祐一は、また選択肢を誤った。現在、両親は看護婦詰所に行き、病室にいるのは、栞、香里、祐一の3人だけになっていた。
ギンッ!
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