第一話 養子
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ンシュタイン中将、座るが良い」
「はっ」
国務尚書が席を勧めてくる。おかしいな、こいつらの笑顔は愛想笑いじゃない、なんか面白がっているような感じだ。何かやったか俺?
「ヴァレンシュタイン中将、今日は卿によい話があるのだ」
「良い話ですか」
司会進行役は国務尚書か。しかし良い話? この面子で良い話しと言われても怪しいもんだ。
「ブラウンシュバイク公がな、卿を養子に迎えたいといっておる」
「……は?」
何を言った、今? 俺は思わず周囲を見回した。皆面白そうに笑っている。
「ヴァレンシュタイン中将、卿にわしの息子になって欲しいのだ」
「……」
ブラウンシュバイク公が何か言っているな。息子? なんだそれ、さっぱりわからんぞ。わかるように説明しろ!
「申し訳ありません、小官にはよくわからないのですが、何かの冗談なのでしょうか?」
途端に皆爆笑した。なるほどやはり冗談か。安心した、俺も一緒に笑うとするか。
「冗談ではない。本当の話だ」
国務尚書、笑いながら言っても信憑性ゼロです。ふざけるな!
「ヴァレンシュタイン中将、わたしから説明しよう」
ミュッケンベルガー元帥が口を開いた。
「ブラウンシュバイク公が卿を養子に欲しいといっているのだ」
「……」
俺が門閥貴族の養子? 何考えている? 馬鹿たれが。
「もちろんフロイライン・ブラウンシュバイクと結婚する事になるが、フロイラインはまだ十五なのでな、結婚は二、三年後となろう。その間、卿はフロイラインの婚約者ではなく公爵閣下の養子としてブラウンシュバイク公家の人間となる」
「……」
「ブラウンシュバイク公は卿を養子に迎えた後、隠居する。卿は跡を継ぎ、新たなブラウンシュバイク公になる」
いい加減にしろ!俺は養子になどならん。大体隠居ってどういう事だ。何を考えている?
「どういうことなのです。何故小官を養子に」
俺はブラウンシュバイク公を見詰めて問いかけた。答える義務があるはずだ、ブラウンシュバイク公。
「内乱を防ぐためだ、中将」
「内乱を防ぐ……」
内乱を防ぐ? お前らを潰すなら内乱大いに結構だ。つまらん養子話など持ち出すな。
「このままでは、いずれ内乱になる。リヒテンラーデ・ミュッケンベルガー連合対ブラウンシュバイク・リッテンハイムの貴族連合だ、卿にもわかろう」
「はい」
お前らが負ける、間違いなくな。俺が叩き潰してやる。
「そうなれば、貴族連合は負ける事は間違いない。クロプシュトック侯討伐の有様を見れば明らかだ。だから、ブラウンシュバイク公爵家は皇位継承争いから降りる事とした。それには皆にわかる形で示す事が必要だ」
根性が無いのか、それとも賢いのか、こいつらは本当にわからん。
「それで小官を養子に?」
「そうだ、卿はミュ
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