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その頃、生徒が登校し始めた学校では…
「お前は来たのか、ちょっと来いっ」
校門辺りで担任に捕まえられ、生徒指導室に連れて行かれる北川。
『どうしたんだあいつ?』
『凄い目付きしてたぞ』
『何かやったのか?』
普段の北川を知っている男子生徒に見送られながら、痛む手をポケットに隠して歩いて行く。
「何で呼ばれたか分かってるな」
「……はい」
担任他数名に取り囲まれているのに、やさぐれたままの北川。
「相沢と水瀬は休むと言って来た、何があった?」
「ええ、香里の見舞いに行ったら、真っ白な顔色してましたよ、あいつの妹より凄い顔色で」
「そんなもんが言い訳になるかっ」
授業をサボった事より、次の日まで休んで問題を大きくしたのが気に入らなかったらしい。非常に役人らしい対応だった。
「今朝は本人から電話がありましたよ、「後3ヶ月の命だからお別れ」だって、「今までありがとう、さようなら」って笑ってましたよっ、あいつの方が辛いはずなのにっ」
ゴンッ、ゴンッ!
机に頭を打ち付けて、自分を傷付けようとする北川、他の痛い場所を麻痺させるように、何度も、何度も。
「馬鹿もんっ、そんな嘘に騙されるんじゃないっ、笑ってたんだろっ、冗談なんだっ」
どうしても自分の生徒に、そんな「問題」を起こされるのが嫌だったらしく、否定の言葉を連ねる担任。
ゴンッ、ゴンッ!
「やめなさいっ、怪我するわよっ」
保健医に止められたが、すでに両手は電柱でも殴りながら歩いて来たのか、拳が擦りむけて腫れていた、骨折しているかも知れない。
「最後には泣いてましたよ、「どうして貴方が泣くの?」って、「名雪といい、貴方まで先に泣いたら、私が泣けないじゃない」って、声震わせて泣いてましたよっ!」
ドカッ!
両手を机に打ち付けた時、ひびでも入っていたのか、痛む右手を押さえて丸まってしまう。
「いいかげんにしろっ」
「やめなさいっ」
担任が頭を叩こうとしたが、隣にいる教頭に止められた。体罰は禁止らしい。
「手もこんなになって、何をしたの? 後で保健室に行きましょう」
「ほっといてくれよっ」
「自分の体なんだから、もっと大事にしなさいっ」
「…………」
保健医の言葉を聞き、もう生きられない香里を思って、大人しくなる北川。
「じゃあ、水瀬はどうした?」
余りにも取り乱す北川を見て、担任も引いていた。
「電話したら、あっちも泣いてましたよ 「あの約束守れないって言われた」って、「百花屋でイチゴサンデー食べる、たったそれだけの約束が守れないって言われた」って泣いてましたよっ、そんな時に学校来れる女の方がどうかしてるっ、俺なんかより付き合い長いんだからっ」
眠れぬ夜を過ごして、朝も早く起きてしまった名雪、登校した所で授業中は居眠り、も
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