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KANON 終わらない悪夢
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 友人達の前で醜態を晒したので、ちょっと恥ずかしそうに、小声で言い訳する。
「いいや、噛んだ、覚えてないのか?」
 昨日のプレイで、噛まれた場所を思い出させようと、鎖骨の辺りを近付ける。
「あっ?」
 かみかみしちゃった場所と、怒って「ガブッ」と噛んで、無理矢理立たせて地点を思い出し、顔を赤らめる香里。
「相沢君」
「祐一さん」
 家族も友人も、すでに祐一を猛獣使いでも見るような眼で見ていた。
「じゃあ、また二人乗りしてくれる?」
「うっ、見られたら恥ずかしいだろ」
 栞にアレを見られると、後で何をされるか分からない、祐一はまた嫌な汗を流していた。
「見られてもいいって言ったでしょ」
 今の人格は、「車椅子ラブラブ二人乗り香里ちゃん」らしい。
 キュピーン!
 そこで栞の目が怪しく光ったが、香里を構っている哀れな祐一クンは気付かなかった。

「えっ? 行方不明っ? 意識が戻ったんですか?」
 そこで電話に向かって、つい大きな声を出してしまうディレクター。
「はい、ええ。監視カメラには映っていたんですか、はい」
 偶然と言うより、祐一にヒントを与えるため、天使の人形に操られ、あゆの取材もさせられていたディレクター。しかし、同じ病院で出会ってしまわないよう、すでに体は隠されていた。


「うぐぅ、あの電話ボクのことだよね」
(そうだよ、でもゲッソリ痩せて、衰えた所を見て欲しかったかい?)
「ううん、見られたくない」
 昨日見た体は、目を半開きにしたまま白目を剥き、まつ毛には目やにがびっしりと固着して、手足の筋肉もやせ衰えて、骨と皮だけになっていて、自分で見ても恐ろしかった。
(ちゃんと成長させて17歳らしい体にもしてあげられるよ、彼に「小学生」なんてからかわれないようにね)
「えっ、ほんとっ」
(うん、後は養分しだいだね)
「えっ? 養分って?」
(点滴だけじゃ足りないから、栄養のある「者」も食べないとね、まかせておいてよ)
「うんっ」
 何を食べさせられるかも知らないで、無邪気に喜ぶあゆ、それは香里達の生命力なのか、祐一の力なのか、既に魔物達はそれを集めるために消えていた。

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