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KANON 終わらない悪夢
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んなっ」
 まんもす、のーさんきゅーらしい。
「栞と二人だけの方がいいですか? その辺りも香里と話しておかないといけませんし」
(うっ!)
 玉虫色の発言で先送りしようとしたはずが、父親は最初の答え以外聞いちゃいなかった。
 ピキーン!
 また予知能力?を発揮して、今後の展開を予想してしまう祐一。

 祐一しつこく妄想中……
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
 店に入って最初っから、瘴気を発して、やさぐれている栞。
「あの、ご注文は?」
「ジャンボアイスクリームとスプーン二つ」
 普段より1オクターブは低い魅力的な低音と、棒読みするような抑揚の無い声で、ご注文する栞さん。
(うっ!)
「かしこまりました」
 どう見ても、ラブラブな雰囲気ではないカップルの注文を受け、逃げるように立ち去る店員。
(あの、俺の昼飯ってアイスクリームなんですか?)
 多分、聞いてもらえないであろう苦情を、心の中でそっと呟いてみる。
「祐一さん、10ヶ月持ったら子供産むって、どう言う意味ですか?」
「いや、それは、言葉のあやで、もっと先の希望が持てるようにって、よくあるだろ?」
「ありませんっ」
 ザシュッ!
 運ばれてきた巨大なアイスクリームに、グーで握ったスプーンを突き立てる栞。祐一は冷たい物を口にしただけでなく、何故か頭のてっぺんがツーンと痛くなった。
「じゃあ、「お前と一緒なら地獄に落ちてもいい」って何ですか?」
 ゴリッ、ゴリッ
 まるでアイスの内臓を掻き出すように、固い部分をほじくっている栞。もちろん祐一君も、冷たい物を口にしただけでは無く、お腹の中がキリキリと痛んだ。
「そ、それも、ドラマとかでよくあっただろ?」
「ありませんっ」
 ザシュッ!
 隣の席とを仕切っている板に、アイスの白い鮮血? が飛び散る。
(はううっ!)
 もちろん祐一も、首の動脈あたりが切られたように痛んだ。
「じゃあ、電話の後は、どうして抵抗しなかったんですか?」
「それも、あいつにのし掛かられて、無理矢理」
「女の力に負けるはずがありませんっ」
 ザシュウウッ!
(ひいいいいっ!)
 首を撥ねられた?可哀想なアイスクリーム。しかし、昨日の夜は明らかに香里の方が力も強く、ベッドに捻じ伏せられて、乱暴されたのは祐一だった。
「昨日の約束って何ですか? あのお姉ちゃんが、夢とか幻って言うぐらいですから、きっと凄く嬉しい約束だったんでしょうねぇっ?」
 俯いている祐一クンの下から、両目を見開き、見上げるようにして、ヤンキーのお姉さんがガンを付けるような表情で見つめて下さる栞姐さん。
(もう勘弁して下さい)
 それからも栞のアイスクリームやけ食いの間、ずっとぐちぐちと質問され続ける祐一クンだった。

 さらに両親が栞と祐一の仲を
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