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が入りそうになる父を見て、何とかフォローしようと頑張る祐一。
「でも始業式からは、栞さんの弁当を嫌って言うほど食べさせられてたんで、「太っただろ」って言ってからかったり、昨日も「お前の病名は食い過ぎだから安心しろ」って言ってたんです」
「ははっ、確かにあれだけ食べさせられたら」
父の表情にも、ようやく笑顔が戻ったが、涙は止まらなかった。
「昨日も今朝も、あいつの方が元気でしたから、きっと良くなってると思います。無理にでも再検査した方が、あいつも安心するんじゃないですか」
体に重大な損傷を負う前に、何とか香里を安心させて、家に帰れるよう説得してみる祐一。
「そうですね、でも反抗期って言うんですか、二人とも私の言う事は聞かない娘で。後で相沢さんからも言って頂けませんか」
「はいっ」
喜んで即答する祐一、もし今晩も残って同じ状況になったら、明日の朝日は拝めない。
「でも、昨日は本当に駄目かと思いましたけど、今日はあんなに元気そうになって、あいつの元気な顔見たのなんて、1年ぶりですかねえ」
「ええ、元気すぎて困ったぐらいです」
昨夜は散々レ*プされたので、うっすらと涙を浮かべる祐一君、そこで香里の父も祐一の顔や手、首筋に残った、引っ掻き傷や、「歯型」に気付いた。
「あの、昨日は乱暴にされませんでしたか?」
「え? はあ、乱暴されたと言うか、何と言いますか? 栞さんが何か言ってましたか?」
今は優しく聞かれているが、油断して濃厚なプレイを公表したりすると、オーバーフェンスで投げられてしまうかも知れない、祐一は慎重に言葉を選んだ。
「いえ、恥ずかしながら家内も同じでして、最初は笑ってたかと思えば急に怒り出したり、言い争いになったら泣き出したり、大変でしたよ」
(あれもソッチ似かいっ!)
「始めは恥ずかしそうにしてたくせに、誰が好きなのか聞いたら、「鈍感っ!」って言って、凄く怒りましてね」
「ええっ、同じです、あいつも最初は「見るな、触るな」「電気も消してすぐ済ませろ」って大変だったんですけど、「お前が好きな奴の方がいいだろ、連れて来てやる」って言ったら、凄く怒られまして」
あまりにも似た状況に、つい語るに落ちて行く祐一。
「やっぱりそうでしたか、相沢さんも大変だったみたいですね、申し訳ありません」
手の傷を指差して、頭を下げる父。
「いえ、これぐらい何でもありませんから」
手や襟から見える傷を隠して、香里に「汚された体」を見られないようにする祐一。心に残った傷に比べれば、体の傷など大した物ではなかったらしい。
「あの時、家内も、変な言い回しで告白したとたん、吹っ切れたみたいに乱暴になりまして」
父もその時の古傷を撫でながら、空を見上げていた。それまでは病弱で弱々しい人だと思っていたはずが、浄瑠璃の人形の
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