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KANON 終わらない悪夢
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りあえず、精の付く物を持って来ましたから、どうぞ」
「い、頂きます」
 目の前に「うなぎ弁当」、スッポン、赤マムシ、などのドリンク剤が並び、普段なら気分が悪くなるような取り合わせだったが、今は体がそれを求めていた。
「ほら、二人はこれだろ」
「「はっ!!」」
 険悪な表情でにらみ合っていた二人だったが、やはりアイスクリームを出されると、瞬時に明るい表情になり、ネコまっしぐらだった。
(やっぱり…)
 さらに確信を深める祐一。

 ガフッ、ガフッ
 うなぎ弁当を赤マムシをお茶替わりに流し込み、スッポンドリンクを吸い物にして朝食を始める祐一。
 ペロッ、ペロッ、ペロッ
 木のへらを舐め、幸せそうに朝食? を食べている美坂姉妹。
「は〜〜〜」
「ふ〜〜〜〜」
 時々、バニラの匂いがする甘い吐息を吐きながら、一時戦いを忘れていた二人。
(逃走用にアイスは常備しないとだめだな)
 後に祐一的ハザードマップが作成され、どこにいても走って数分以内にアイスクリームが調達できるよう、準備されたと言う。

「昨日も主人と話していたんですけど、私の実家の本家では、何代かに一度、力のある方に血を分けて頂かないと、家が絶えると聞きましたが、こう言う事だったんでしょうかねえ」
「は?」
 また栞や秋子のようなセリフを言う人物が増え、疑問符を浮かばせる祐一。
「いえ、私は分家で、子供の頃に聞いた噂だけですので、詳しくは知らないんですが」
「はあ…」
「この辺りは、そう言う伝承は多いみたいですね、ものみの丘の狐の嫁入りとか。また詳しく調べてみます」
 栞の時は、愛や恋が起こした奇跡だと思っていたが、香里や母親まで症状が軽くなった事で、父親も考えを変えていた。
 その後、祐一が、「やくそう」を使って、ヒットポイントが半分ほど回復した頃。
「それにしても良かった、今日も検査して貰おう、栞みたいに治ってるかも知れないぞ」
「嫌よ」
「「「えっ?」」」
 自分でも体調の回復を感じているのか、再検査を嫌がる香里。
「短くなってたらどうするの? ローソクと彗星は燃え尽きる前が一番明るく」
「やめんかっ!」
 父親の怒鳴り声で、続きは言えなくなった。
「いいかげんにしろっ、相沢さん、ちょっとよろしいですか?」
「はい」
 怒鳴られた後に呼ばれたので、勢いに負けて立ち上がる祐一。
「わしはちょっと用事を済ませて来るから、栞は学校に行きなさい」
「嫌です」
 姉が祐一と一緒にいると、何をするか分からないので、残るつもりでいた栞。どちらも父親の言う事は聞かない娘だった。
「好きにしろ」
「どこ行くの? 私も」
「お前は寝てろっ」
(何よ、急に)
 有無を言わさない父親の剣幕に負け、とうとう祐一を手放した香里。日が高く、家族
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