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時、世界が輝いて見えるって本当だったのね」
栄養たっぷりなのか、幸せ一杯なのか、すっかり血色が良くなり、目や脳に映る景色が輝いている香里。
(あ〜、太陽が黄色い)
こちらは血液の中から重要な要素が欠乏し、眼底に映る色まで違って見えている祐一。
「足も動くようになったし」
昨晩、あれだけ下半身の運動をしたにも関わらず、筋肉痛もなく、左手、心臓に続いて、腰から下もしっかりしたらしい。
(立てない)
こちらは腰が抜けたか、普段使わない場所の筋肉を使い過ぎて、椅子から立ち上がれなかった。
「何だか、久しぶりに調子いいわ〜」
朝日を浴びながら背伸びをして、体に充満したエネルギーを感じる香里。
(お前の体の構造は、どうなってるんだ?)
もしかするとウル*ラセブンか、キカ*ダー01みたいに、太陽エネルギーで動いているのかも知れない。
「ねえ〜、起きてぇ〜、祐一ぃ〜」
やたら鼻にかかった甘い声を出し、顔を撫で回す。
(もう眠らせてくれ)
愛刀「胴太貫?」を折られ、柳生?との戦いに疲れた祐一は、ただ安らかな眠りを願っていた。
コトッ
「はい、どうぞ」
しばらくどこかに行っていた香里は、コーヒーを持って現れた。ドリンク剤以外にも、夜明けのコーヒーセットも入っていたらしい。
(アイスクリームと水以外、体が受け付けないんじゃなかったのか?)
「ふふっ、私にもこんな事が起きるなんて、まだ信じられない。誰かと愛し合って、翌朝一緒にコーヒーを飲むなんて、栞の見てる面白くないドラマみたい」
それには大きな代償が必要だったが、それを忘れた訳ではなかった。香里は今のほんの一瞬、この時だけを生きていた。
「朝に理を知れば、夕べに死すとも可なり。いいわよ、もう貴方の心の中には残れたから、一人で生きて、一人で死ぬわけじゃない」
祐一が寝たままだと思っているのか、起きていると信じているのか、顔を撫でながら優しく笑う香里。
(そんな表情もできたんだな)
昨日は、もうすぐ死ぬと言われた時の顔とか、泣き叫ぶ顔、すすり泣く顔、エロ顔、「邪魔する奴は殺す」と言った、怖い系の表情しかしなかったが、今日は穏やかな表情で微笑んでいた。
(ずっとそのままでいてくれ)
「えっ?」
二人の間にも縁ができたのか、佐祐理のように心の声が聞こえたらしい。
「そうね……」
そこで閉じた瞼に当たる日差しが遮られたかと思うと、コーヒーの香りがする唇が触れた。
「歯は、磨いたのか」
そこで「ある事」が非常に気になって、ようやく口を開いた祐一。
「ええ、リクエスト通り、口の中全部磨いたわよ、バナナ味の歯磨き粉で」
香里の冗談の意図を掴みかねる祐一、それは子供用の歯磨き粉なのか、または?
「うちは昔から、「辛い」のは
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