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KANON 終わらない悪夢
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 少し戻って電話を切った後の水瀬家
「お母さんっ」
「どうしたの? 言ってみなさい名雪」
 しばらくは、泣いてばかりいる名雪ちゃんで、秋子ちゃんも、困ってしまってワンワンワワンだったが、落ち着いた頃に質問すると、ポツリポツリと話し出した。
「香里さんが死んだら嫌だって言ってたわね、そんなに具合が悪いの?」
「うん、後、3ヶ月だって言ってた、ううっ」
「そう、それで祐一さんが付き添ってあげてるのね」
「うん、それで香里が、栞ちゃんが言ってたって」
 祐一に抱かれれば治る、とは言えなかった名雪。
「何を?」
「その、祐一といろいろしたら、栞ちゃんみたいに良くなるんだって」
「そう」
 名雪語の翻訳では、秋子以上の人はいないので、帰ってからの会話と電話の内容、今の説明だけで、大まかな内容は分かった。
「心配しないで、祐一さんには本当にそんな力があるのよ、特に美坂さんみたいな家系の人にはよく効くの」
「えっ?」
 子供の頃から聞かされてはいたが、まだ秋子の話の意味までは理解できない名雪。
「本当は名雪にもあるんだけど、まだ気が付かない?」
 自分にできるのは、人より少し早く走れるのと、立ったまま寝るのと、寝たまま登校できる事だけだった。
「わからないよ」
 知らず知らず、祐一達を何度か癒したが、意識はしてやった訳ではない。
「いい機会かも知れないわね、祐一さんが上手くいかなかったら、貴方が治してあげなさい」
 この場合、名雪ちゃんが「タチ」になって責めるのか、「ねこさ〜ん」になるのか知らないが、貝合わせ?をするらしい。
「だから香里さんは大丈夫、問題は祐一さんを取られないようにするだけ」
 今までも母親の言葉には、間違いや嘘は無かったので、何故か香里は大丈夫なのだと思えた。
「でも香里、栞ちゃんと姉妹でいられなくても、うっ、私と友達でなくなっても祐一は諦めないって」
 絶交を宣言されたも同然の言葉を思い出し、また泣きが入る。
「昔からよく喧嘩はしてたでしょ? それに誰を好きになるか決めるのは祐一さんよ、そうね、今でもあなたの一番のライバルは栞さんかしら」
「うん」
 栞や香里よりは、馬力と耐久性以外、かなりグレードが低いとは公表しない秋子ちゃん、武士の情けらしい。
「私も祐一さんにはずっと家にいて欲しいから、頑張りなさい。まずは朝ちゃんと起きられるようにする事、よだれを垂らしてグーグー寝てる女の子は恋愛の対象外よ」
「ええっ、できないよ〜」
 さっきまで大泣きしていた名雪は、最大の問題点と今後の課題を指摘され、心がかなり楽になっていた。
「さあ、もう寝なさい、顔を会わせ辛かったら、今度私と一緒にお見舞いに行きましょう」
「うん」
 以前にも、何度か秋子に仲直りさせて貰ったので、その日、名雪は何とか眠
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