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まう祐一だった。
祐一妄想中…
「香里、来ちゃった」
「なっ、どうして? 貴方とは絶交したでしょ」
しかし、あそこまで言っても、まだ親友が自分を心配してくれていると思い、目頭が熱くなってくる香里。
「今日は診察に来たんだよ、祐一の「お注射」だけじゃ足りないみたいだから」
「えっ?」
そう言いながら早速リボンを解き、上着とブラウスを脱ぎ始める名雪。
「ちょっと、何してるのよっ」
それは、「ナースエンジェル なゆきSOS」か、「マジカルナース名雪ちゃん マジカルて」の、愛のお手当てだった。
「だいじょうぶだよっ、わたしが治してあげるから」
「嘘よっ、持って後3ヶ月なのよっ、それをどうやってっ」
「だめだよっ、思い出さないでっ」
香里が壊れるのを恐れた名雪は、泣いている香里をギュッと抱き締め、胸の中に顔を埋めさせた。
(何かどこかで見た展開だな)
祐一は、天丼(繰り返しボケ)を覚えた。
「名雪?」
「ほら、こうしてると落ち着くでしょ、心臓の音が「とくん、とくん」って聞こえるでしょ」
「ええ」
「わたしも悲しい時、お母さんにこうして貰ったんだよ、きっと香里もだいじょうぶだから元気出して」
ほえほえパワーで癒して行く名雪、やっぱり顔が「ムーミン」か、「たれパンダ」だけに、癒し系らしい。
「だいじょうぶ?」
「うん、ふぁいとっ、だよ」
祐一が落ち込んだ時、2回とも癒した名雪にも、心のケアには実績があった。
「名雪…」
しかし病気の記憶が曖昧になった今、健康な女子高校の反応と言えば?
「名雪っ!」
そのまま背中に手を回し、たわわに実ったブツにむしゃぶり付く香里。
(むうっ、けしからん)
多少無理のある展開でも、強引に妄想を続ける祐一。
「あっ、だめだよっ、祐一に怒られちゃう」
名雪的には、祐一に怒られなければ構わないらしい。
「あたしが好きになったら、貴方も死ぬから? そうなのね」
「えっ?」
まだ混乱しているのか、泣きながら離れようとする香里。
「違う、違うよっ、わたしなら大丈夫だよ」
そう言って、もう一度香里を引き寄せ、胸の中に戻して抱き締めた。
「わたし、体だけは丈夫だから、ねっ」
「ほんとっ? ほんとなのねっ」
「うん、しょーめいしてあげるよ」
祐一、北川、と言った邪魔者が消え、ついに自分の元に戻って来た香里を抱き締める名雪。もしかすると、黒魔術とかホワイトマジックとか、牛の刻参りなどを駆使して、男を排除したのかも知れない。
「名雪っ、名雪っ!」
「香里っ」
(くううっ、けしからん、実にけしからん)
それから正門に戻っても、面会時間は終わっていたので、通用門は閉じられていた。
(面会時間、20時までって書いてあるじゃないか)
この
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