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る事ができた。
病院に戻る
あれからアイスクリームなどを仕入れ、病院に戻ろうとした祐一だったが、コンビニの前に公衆電話を見付けた。
(秋子さんにだけは謝っておこうか)
香里は心配だったが、ほんの一言でも謝ろうと思う祐一。まだ自分が帰る場所があるのか、確かめるためにも。
プルルルッ、プッ
まるで栞の時のように1コールもしないで繋がる電話、今度は名雪が待っていたのではないかと、恐ろしくなる。
『もしもし、水瀬です』
「あっ、秋子さんですか、さっきはすみませんでした。香里の奴が名雪と喧嘩して、名雪、大丈夫ですか?」
『ええ、さっき寝かせました、名雪なら大丈夫ですよ』
「そうですか、良かった」
自分には帰る場所があると安心した、その時。
『でも、今度のお相手は香理さんですか?』
ザクッ! ブシューーッ!
急所を突かれ、大半のヒットポイントを失う祐一。
『冗談です、名雪にも聞きましたから、今日は香理さんに付き添ってあげて下さい』
「は、はい」
秋子ちゃんは、「まあ、大きなおでん種」以外、冗談など言わなかったので、半分は本気に違いない。 祐一は、自分の帰る場所は、もう無いのかも知れないと思い、見えない傷口から血を流し続けた。
『栞さんみたいに、「色々してあげると治る」と思いますから、今夜はお願いします』
「は?」
まるで栞のようなセリフを言う秋子、そこでさっきの電話の内容を思い出す。
「それも名雪が言ってたんですか?」
『ええ、それもありますけど、私達にはそんな力があるんです、祐一さんで治らなかったら、名雪を行かせますから』
「えっ?」
『香里さんをお願いしますね、もしもの事があったら、名雪が悲しみますから』
「はい」
祐一も、秋子の言葉なので、何の裏付けが無くても信用できた。
『じゃあ、そろそろ香里さんの所へ帰ってあげないと、追いかけてきますよ』
ビクウッ!
まるで自分の今の状況も知られていて、後ろに香里が立っているような感じがして振り返って見る。
(まだ来てないな)
『明日にでも一度帰って来て下さい、学校の方には休むって言っておきますから』
「は、ハイ、そレじャア」
明日の予定まで読まれ、自分の一挙一動まで知られているような気がして、声が裏返る祐一。
『うふふっ』
そこで受話器を降ろす時、秋子ちゃんの笑い声が聞こえたような気がした、まるで今夜、祐一が眠る暇など無いのを知っているような声が。
(やっぱり秋子さんだな、何でも知ってるって言うか、知られてるって言うか、でも、俺達にそんな力があるって何だ?)
今までの説明では、栞や香里が体感した力の意味までは分からなかった。
(それに、俺で治らなかったら、名雪を行かせるって)
そこでお約束の良からぬ考えをしてし
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