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に、またムクムクと育つ祐一。
「じゃあ、今日はもうキスは無しだ」
「えっ?」
「どうした? 嫌なのか」
香里の中で、おやすみのキス、おはようのキス、寝ている間のチューなど、どちらが得か回数が数えられた。
「後でまた飲ませてくれる?」
「え? ああ」
余りにもそのままの表現に、ちょっと気後れしながら了解する。
「じゃあ……」
ゴクリッ!
わざわざ聞こえるように、耳に近付いて大きな音を立てて飲み込む香里。
「あ〜、美味しかった」
そう言って、精*臭い息を、耳に吹きかけて来る。
(うっ、何てエロい口撃だっ)
さっきから、栞や名雪には絶対できない方法で攻撃してくる香里。すでに祐一攻略戦では、名雪軍は壊滅し、栞同盟も敗戦は時間の問題だった。
1階に付くと、情緒不安定な香里はロビーで待たせておき、病院前のコンビニに行く祐一。
「じゃあ、ここで待ってろよ、どこにも行くんじゃないぞ」
「うん」
今は気分もいいのか、ソファーに座ってニコニコしながら手を振っている香里。
(それにしても、俺よりあいつの方が元気だな、もう治ってるんじゃないか?)
そんな事を考えながら病院を出ると、外には見覚えのある人物が立っていた。
「…やっぱり祐一がいた」
「舞じゃないか、どうしたんだ? こんな所で」
こんな夜に、と聞かないで済むのが、舞ならではだったが、普通この時間帯には、校舎の中にいるはずだった。
「…奴らが学校を出た」
相変わらず肝心な言葉は抜け落ちていたが、意味は理解できた、魔物が夜の校舎を出て、どこかに行ったらしい。
「出たって、アレは夜以外、どこかに戻るんだろ」
嫌な予感がしながらも、前に聞いた話を思い出しながら聞いてみる祐一。
「…さっきまでこの中にいた」
「何だって?」
最悪の答えを聞いて愕然とし、香里が心配になって今来た道を戻ろうとしたが、舞に捕まえられる。
「…今はもういない、タクシーに乗って出て行った」
「ええっ?」
あの見えない魔物が、タクシーに乗って移動する所を想像してみる。
(? 無理だな)
「…奴らはやり方を変えたらしい」
そう言って祐一に鼻を近づけ、クンクンと匂う。
「…女の匂いがする」
「これは香里が入院したから、今まで付き添ってただけだ」
別に慌てて言い分けする必要も無かったが、つい条件反射でやってしまう。
「…魔物の気配も残ってる」
「えっ?」
「…今日はもう出ない、帰る」
「おい、香里に会って行ってやれよ」
「…私は邪魔になる」
そう言い残して歩いて行くと、ほんの数メートル先で舞の姿は見えなくなった。
(相変わらず謎な奴だな?)
「うぐぅ、あの人苦手」
(大丈夫、力は強いけど心は弱い、いずれ片付けてあげるよ)
(シ
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