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」
「いや〜〜、だめっ、あはははっ、苦しい〜〜」
そこで苦しいと聞いて、思わず手を緩めてしまう。
「…いくじなし」
「違うだろ」
「栞とも、いつもこうやって遊んでるの?」
「いいや、あいつとふざけた事なんて、あんまり無いな」
「そう……」
雪合戦はした事があるが、あれは栞が「雪球に石を入れてもいいですか?」と聞いたぐらいで、結構真面目な遊びだった。
「切って」
「上手く切れなくても怒るんじゃないぞ」
「ええ」
香里の髪のウェーブが始まるより上に、ゆっくりとハサミを入れる。
シャキッ
か細い髪が、髪留めまでサラサラと落ちて行く、乙女の命と言われる髪を切っているので、また香里が泣き出さないか心配したが、本人は妙にさっぱりした表情でそれを見送っていた。
シャキッ
「これでいいか?」
横に真っ直ぐ切るだけだったので、案外綺麗に切り終わった。
「ええ、貸して」
切り落とした髪を受け取り、もう一本髪留めを出し、毛先の方も縛っている香里。
(美坂香里から相沢祐一へ)
「はい、ずっと持っててね」
封ができるビニール袋に入れて、紙に包んで名前と年月日を書いて渡される。
「ああ」
「あたしが死んだら、それを」
「やめろよっ」
遺髪だと言う香里を遮り、黙らせるために頭を胸に押し付けた。
「引っ越しても捨てないでね」
「ああ」
「栞か名雪なら、見付けても捨てないで見逃してくれるはずだから」
その言葉で、祐一の方が先に泣いてしまった。
「やめろって…」
そうして切なくも甘い、二人だけの時間が流れて行った。
「うぐぅ、ボクには二人の愛が、どんどん育まれて行っているようにしか見えないよ」
(そうかい? これはサービスだよ、タイヤキと同じさ)
(死者ヘノ手向ケ)
この魔法カードが発動した場合、墓地に送られたカードの代わりに、デッキから攻撃ポイント1500以下のモンスターを召還できる…… かも知れない。
(それは遊戯王だよ)
「うぐぅ」
眠っていたあゆには、最近の濃い話題は理解できなかった。
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