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て言っても薬の副作用程じゃない、2,3日もしたら治るわ…… それとも、あたしじゃ嫌なの?」
前半はいつもの調子でまくし立てるが、最後にはまた弱々しい声を出した。
「違うだろ、お前ら一体何を話してたんだ? 栞だって好きな相手と結ばれないと意味無いとか、言ってなかったのか?」
「言ってない、相沢君としたら治るって」
(お〜〜〜〜〜い)
栞がどんな説明をしたのか、後で尋問する必要があった。
「他には何を言ってた?」
「相沢君は好きかって聞くから、嫌いじゃないって」
舞言葉と同じで「相当嫌いじゃない」かも知れない。
「それから?」
「じゃあ、「今日にでも愛し合って下さい」って」
「ほらみろ、愛が無いとだめなんだよっ、お前だって好きな奴がいるだろ、そいつの方がいいんじゃないか?」
先程の栞の言葉を思い出すが、一応本人に確認して見る。
「誰が好きなんだ? 言って見ろよ、俺が連れて来てやるから」
「そんなの言える訳ないでしょっ、それにあなた以外だったら効果が無いって言ってたわよっ、この鈍感っ!」
病人の割には元気に喚き散らしている香里だったが、鈍感と言った辺りに僅かな乙女心が感じられた。
「じゃあ、言ったら教えてやる」
「何を?」
「お前の…… 寿命……」
「……そう」
平然と言ったように聞こえたが、その声もシーツも、震えているように思えた。
「…………私が、好きに、なったのは」
長い間を置いて、布団から頭を出し、泣き腫らした目を少しだけ出して、怯える表情で祐一を見つめる香里。
「鈍感で、ヘラヘラしてて、成績も悪くって、スポーツもできるわけじゃないし、それに女だったら誰にでも優しくて、見境が無くて」
自分への悪口が、それ以上続くなら、帰ろうかと思った祐一。
「でもそいつは、友達の親戚で、妹の命の恩人だったの」
そこまで言うと、真っ赤になって、また顔を隠してしまう香里。
(このっ、結構かわいいじゃないかっ)
今の告白にはグッと来たが、何とか冷静さを保つ。
「うそつけ、調子いい事言うなよ」
「嘘じゃない、今まで愛だの恋だのなんて嫌いだった、栞の見てる恋愛ドラマなんて見たくもなかった。家族も子供もいらないって思ってた。すぐに死んで苦しむだけだから、ずっと一人でいて、一人で死ぬつもりだった」
告白や手紙を断り続けた香里の男嫌いは知られていたので、校内では「香里と名雪はSMレズ」と言うのが定説になっていた。
「でも貴方だけは違った、誰も、あたしでも怖くて近付けなかった栞に優しくして、とうとう病気まで治した。普通ならあの薬臭い匂いと、真っ青な顔色を見ただけで誰でも逃げ出したのに、どうして?」
ちょっと視線を上げ、以前の栞を思い出してみる。
「別に臭く無かったな、それに北国だから
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