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KANON 終わらない悪夢
05
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のを確認してから、舞は中庭に走った。

「美坂さん、すぐ救急車が来るから、しっかりして」
 酸素をセットしながら、脈をとっている保健医。
「妹の、薬で、楽に、なり、ました、もう、いいわ」
 酸素と保健医が来たので、心臓マッサージを断る香里。
「じゃあ名雪、代われ」
「うんっ」
 とりあえず女同士で体力がある名雪に任せるが、今でも真っ青な栞にさせる訳にはいかない。
「ほら、ここを押さえて」
「ううっ、香里、死んじゃダメだよっ」
 ボカッ
「いたいよっ」
「これぐらいで死ぬかっ」
「うん」
 それを見て、また少し笑う香里。
「今度、イチゴ、サンデー、おごるわ」
「うんっ、約束だよっ」
 弱々しく、それでも名雪と自分を励ますように将来の約束をする香里、少なくとも余命一年はあると思っていた。
「それ以上喋ったら人口呼吸だ」
 そこでようやくボンベをセットした保健医が、酸素マスクを付ける。
「残、した、キス、栞、し、もら、なさい」
「あんまり喋らないで、香里」
「安心しろ、病名は「食い過ぎ」だ、胃に血が集まりすぎて貧血で倒れた、それから食べた物が喉に詰まって息ができなくなった、そうだな?」
 香里も笑いながら頷いていた、本当にそうなら、どれだけ気が休まるかと思いながら。
「今日からお前も、名雪と同じ「お笑い系」だな、病院で笑われて来い」
「ちがうよ、わたし、体育会系だよ」
 ボカッ
「だから、叩かないでっ」
 二人の「どつき漫才」を見て少し落ち着く香里、そしてきっと自分の病名は、食べ過ぎだと願いながら目を閉じた。

 タッタッタッタッ! ザッ!
「…どうしたの? 何があったのっ」
 慌てて走って来て、珍しく大きな声を出す舞を見て驚く一同。
(姉の方? 外傷は無い、奴らもこんな明るい場所には来ないはず、だったら?)
 自ら天使と名乗った物を疑う舞。
「ああ、香里が食い過ぎで倒れた、栞? 何かいい薬無いか?」
「え? 胃薬なら」
「飲んどくか?」
 また少し笑いながら首を振る香里、呼吸も楽になったので、自分でも本当に食べ過ぎで倒れたのでは無いかと思い始めていた。
(そんな馬鹿な、食べ過ぎで心臓マッサージされて、酸素マスクを付けられる患者がどこにいるの)
 母の事を思い出し、辛そうな表情になる舞。
「…ちょっと来て」
 そのまま祐一を引きずって行き、香里から引き離す。
「どこ行くんだよっ」
「…あの子は奴らにやられたの?」
「はあ?」
 最初は意味が分からず、疑問符を浮かべる祐一。
「さっきまで奴らが校舎の裏にいた」
「何だって?」
 そこでようやく、傷だらけの木刀の意味が分かった祐一。
「違う、食べ終わって話してたら急に倒れた、佐祐理さんは?」
 いつも一緒の二人が別々
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