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の押し逃げ、深夜のいたずら電話、投石、壁の落書き、当然回覧版は回って来なくなり、ごみ袋の中も全部調べられ、子供を連れての公園デビューなど以ての外、果ては職場にまで嫌がらせが及び、解雇されるのは間違いなかった。
(うぐぅ、日本中逃げ回っても、時間の問題じゃないか)
栞と言うより、香里から逃げた場合の生活を想像し、嫌な汗を流す祐一。そんな生活に耐えられるのは、舞ぐらいしかいなかったが、名雪、あゆ、真琴には無理な相談だった。
(チェックメイトよ、もう貴方にできる事は、婚姻届に実印を押す以外、何も無いのよ)
僅かな時間で包囲は完了し、祐一はどうしようも無い状況に陥っていた。
「ふふっ、日曜が楽しみね。栞、 結婚式はいつがいい? やっぱり6月」
「そんなっ」
勝利を確信し、高らかに笑う香里と、顔を赤らめて手で隠している栞。
(お母さんっ、私負けちゃうかも知れない)
美坂家の策士の前に、敗北寸前の名雪、その時、何かの声が聞こえた。
「うぐぅ、そんなのだめだよっ」
(ソウダ、ダメダ)
香里の耳にその声が届いた時、異変が起こった。
「えっ?」
地面と空が回るような奇妙な感覚の後、ゆっくりと栞にもたれ掛かる香里。
「もう、お姉ちゃんったら、ふざけないでっ」
「おいおい、昼間っから」
祐一の勘違いも虚しく、香里はそのまま力無くずり落ちて、栞の膝の上に倒れた。
「お姉ちゃんっ?」
「「香里っ!」」
「あれっ?香里さんどうしたの」
(これは君が願った事)
(シンデシマエ)
「そんな、違う、違うよっ」
(もう戻れないよ、彼に近付く女性は、みんな不幸になるんだ)
「だめだよっ、そんなお願いしてないっ、祐一君が悲しむ所なんか見たくないよっ」
(ハハハハハハッ)
西洋では「願い事をする時、よく考えてからお願いしなさい、それが本当に叶ってしまう事があるから」と言う諺がある、昔のあゆは、お願いの仕方を間違っていた。
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