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KANON 終わらない悪夢
02
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 嫌な気分を直す名雪メニュー、それは朝に続いて昼も苺ジャム、さらに飲み物までゲルルンな苺尽くしに、胸が悪くなる祐一。
「お前はAランチだろ、中庭まで持って来いよ」
「だからそんなはずかしい人いないよっ」
 きっと寝ながら登校したり、朝礼で立ったまま寝るのは、恥かしいと思っていないらしい。
「舞なら牛丼持ち帰りできるぞ」
「えっ?」
 以前4階まで牛丼を持って来たのを思い出し、名雪にも教えてやる。
(やっぱり、格好いい人)
 名雪理論は不明だが、学食牛丼お持ち帰りは格好いいらしい。
「…買って来ようか?」
「い、いえ、いいです」
 さすがの名雪も、舞をパシリに使って、さらに中庭でAランチを広げる根性は無かった。

 やがて買い出しも終わり、中庭に出た所で。
「祐一さん……」
「え?」
 後ろから呼び止められて、振り返る祐一。
「祐一さんっ!!」
 そして惨劇? は起こった。

 ドスウッ!
 懐に飛び込まれ、よろけて後ろに座り込む祐一。
「相沢っ」
「「「祐一っ(さん)」」」
 辺りには、祐一の胸に飛び込んで来た女が落とした物が、バラバラと散らばっていた。
「そんなっ?」
「祐一〜〜」
 驚く香里と、その惨状? を見て顔をゆがめる名雪。他の者も余りに急な出来事に、唖然としてその成り行きを見守るしか無かった。

「栞っ、栞じゃないかっ!」
 祐一の胸には、まだ入院していたはずの栞が抱き付き、盛大に泣き始めていた。
「祐一さんっ!」
 例のエンディングの通り、栞が落とした紙袋からは、アイスクリームがこぼれ落ち、周りに転がっていた。
「こんな時って、泣いてもいいんですよね?」
「ああ……」
「私っ、本当は死にたくなかった!」
 そこでは二人だけの世界が展開され、もちろんその間、姉、姉の親友、北川、舞、佐祐理などのギャラリーは、全てアウトオブ眼中だった。
「ぐすっ、うっ、うわああああああっ!」
 その頃にはすっかり生徒が集まってしまい、周囲を取り囲まれ、見せ物状態に陥っていた二人。
『どうしたの?』
『ほら、去年倒れてずっと入院してた美坂さんよ、病気が治って退院したらしいわ』
『それであの人が3年の』
『病気が治ったのは奇跡だって、ご近所や病院ではもっぱらの噂なのよ』
『『『まあっ』』』
 ここに、学園の新たな「愛の伝説」が始まろうとしていた。
「栞ったら、こんな人前で、ばかね」
(やっぱり祐一、栞ちゃんと)
「まあ、びっくりしました〜」
「…誰?」
 祐一に馴れ馴れしくしている1年を見て、ちょっとポンポコたぬきさんな舞。

 パチパチパチパチッ!
「「え?」」
 周囲から巻き起こった拍手に気付き、ようやく現実に引き戻された二人。
「「「「「おめでとうっ」
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