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雪だったが、何故頬が赤くなるのかは謎だった。
「…いい、でも嫌いじゃない」
一応断ったが、ほのぼの、のんびり、ほえほえ系の女は「嫌いじゃない」らしく、舞も名雪が気に入っていた。
そこで佐祐理から氷のような殺気が発せられ、周囲の気温が下がったような気がした祐一。
「いいんですよ〜 舞のリボンは用意してますから〜」
表情だけはいつも通り、ほのぼのしている佐祐理だが、その体からは青白い炎のようなオーラが発せられていた。
「うっ!」
舞の古いリボンを素早くほどくと、真新しい小豆色のリボンを結び始める佐祐理、さっきいなかったのは、これを買いに行っていたせいらしい。
「いい… 自分でする」
「いいえ、これは佐祐理の日課です、まかせて、舞」
慣れた手付きで舞のリボンを巻くと、「使用済み」の物は、新品の入っていた袋に入れて封をして、自分の鞄に仕舞い込んだ。
(それって、犯罪じゃないのか?)
その一部始終を目撃した者の中で、祐一だけが違和感に気付いていたが、他の生徒達は佐祐理が舞の「匂い付きリボン」を、お持ち帰りするのを見逃していた。
「何かおっしゃいましたか? 祐一さん」
「い、いや、何も」
「…これはいつも、佐祐理が洗ってくれるから」
きっと洗って返して貰っていると信じている舞、それが「舞2日間着用」とか「汗だくになった物を回収」と書かれて永久保存されていたり、ビニール袋に入れたまま「レンジでチンしてスーハー」したり、良からぬ事に使用されて、「汚した物」だけは洗って、自分の匂いが残った物を舞に装着するのが日課になっている… などと知る由も無かった。
(…………)
あえて何も考えず、この場をやり過ごそうとする祐一、この状況なら、ブルマ、体操服、下着なども、頻繁に誰かに新品に交換されているに違い無い。
そこで本鈴が鳴り、始業式前に教師が入って来た。
「ほら、さっさと席に戻れっ」
「起立〜〜! 礼っ!」
「うぐぅ、出番が無いよ」
(まだ導入部だからね)
(ミンナコロシテシマエ)
「だめだよっ」
(そうだね、君達は明るい場所に出られないから、今はじっとしててよ)
(ワカッタ)
暴れようとする魔物達を、言葉だけで抑える天使の人形。すでに長年の力の蓄積で、奇跡?を起こす力を持ち、舞の分身である魔物より強力になっているらしい。
(これからどうしようか?)
(カラダガホシイ)
(そうだね、名案だ、そうしよう、ふふっ)
(ハハハハッ)
これからどんな悲劇が起こるかも知らないで、魔物達と一緒に行動しているあゆ、その体もすでに魔物と似たような存在になりつつあった。
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