暁 〜小説投稿サイト〜
KANON 終わらない悪夢
01
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うなの?」
「受験に集中できるように、3年はクラス替えはしない、って聞いてなかったの?」
 多分、寝ていたのかも知れない。
「そう言えば、聞いたような……?」
 やっぱり寝ていた。
「それよりちゃんと説明しなさいっ!」
「えへへっ」
 今日も仲良く? 教室まで走る3人だった。

「ふうっ、どうして今日も間に合ったんだ? 誰か教えてくれ」
 毎日、絶対に間に合わない状況でも、何故か遅刻しない二人。
「それはきっと、日頃の行いがいいからだよ」
 そのセリフは、会えなくなった栞も言っていた言葉なので、祐一と香里の胸に深く突き刺さった。
「そうだな……」
「ええ……」
 香里の顔色が悪くなった所で、今日も追及を免れた二人。
(でもコイツって、栞に会えないのに、どうして笑ってられるの?)
 初めは自分と同じで、無理に笑っているのではないかと思っていたが、香里から話を出さない限り、栞が話題に上る事は無かった、まるで1月頃の自分と逆になったように。
(それだけ話すのが辛いの? それとも?)
 聞いてしまうと「俺に恋人なんかいない」と言われそうで、恐ろしくなった。
(そうよ、コイツなんてその程度の奴なのよ、気にする方がおかしいのよっ、やめやめっ)
 本鈴前に教室に入ると、仮に出席番号順に座っている生徒の中で、北川以外にも見慣れた顔があった。
「…祐一がいる」
「お前こそ、どうしてここにいるんだ?」
 そこには、無愛想で目付きも悪く、余計な事は喋らない剣豪が座っていた。
「…留年した」
「何っ?」
 舞は数々の暴力事件?と、校舎の破壊で停学が続き、出席日数が足りなかった。
「…クラスメイト」
 祐一君と舞ちゃんは、3年の大切な時を共に過ごす事になった。
「そんなバカな」
 きっと、倒せなかった魔物と戦い続け、この場所を守るためには、留年してでも学校に残るのが得策と判断したらしい。
 そこで呆然としている祐一に近付く少女が一人。
「あはは〜 佐祐理も留年しちゃいました〜」
「どうして佐祐理さんまでっ?」
「病欠が多くて、出席日数が足りなかったみたいですね〜」
 こちらは必ず舞と同じクラスになれるよう、狙って来たに違いない。佐祐理は、舞が停学の間は何故か病気になって、弁当を持って川澄家に行っていたので、出席日数が足りなかった。 もちろん成績も悪かったが。
「今度は同級生ですね〜、楽しい思い出を沢山作りましょう」
「え? ああ……」
(それにしてもどうやって、いや、それ以前に倉田家はそれでいいのか?)
「ええ、家は大丈夫なんですよ〜」
 議員の娘が留年して、その上こんな「不良娘」と一緒にいていいのか疑問に思う祐一は、佐祐理の左手首に見慣れないバンテージを見付けた。
(あれって絶対、汗止めじゃないな)
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ