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年と同じよ、自分で走って来たんじゃない」
「そうなの?」
「ええ、全校生徒の見てる前で、お手々繋いで仲良く通学して来たのよ」
「……うそ」
「ほんとよ」
まだ繋がっている暖かい手を見てから、視線を祐一に戻す。
「ひどいよっ、祐一っ」
「その前に起きろ」
「しかたないよ、春は何だか眠くなって、起きられないんだから」
春は普段より2割増量期間中らしい。
「お前は1年中だろ」
「ちがうよ〜」
「それにしても凄いわね、どうやって着替えたの? 今年は下にパジャマ着て無いのね」
「そ、そんなの、もうしないよっ」
恥ずかしい記憶を呼び覚まされ、さらに顔を赤らめる名雪。
「じゃあ、相沢君に着替えさせて貰ったの?」
(うっ!)
軽く探りを入れられただけなのに、身に覚えのある祐一は一気に固まった。
ピキーン!
妹の彼を監視している香里の目には、祐一の石化の意味がすぐに分かった。
「やだ、いくらわたしだって、そこまでされたら寝てないよっ」
でも寝ていた。
「へ〜〜、まさか二人とも、「目の前で着替えるぐらい平気な関係」じゃないでしょうねえ?」
(はうっ!)
今日も魅力的な低音と、ヤンキーのお姉さんのような目付きで質問して下さる、将来の義姉。
「ちがうよ……」
ポーカーフェイスなど不可能な名雪、香里の演算装置では、次々に変数XやYが埋まって行った。
「そう、そうだったの、これは栞にどう説明したらいいのかしら?」
「ち、ち、違うんだ、俺達はそんな嬉し、いや、やましい関係じゃない」
「うんっ」
どんどん挙動不審になる祐一と、嬉しそうに顔を赤らめる名雪。そこで予鈴が鳴り、周りの生徒も走り出した。
「いかんっ、走れっ」
そこで予鈴に救われ、教室へと逃げる二人だが、手はしっかり繋がったままだった。
「うんっ」
祐一が離さないのか、名雪が握ったままなのか、本当に付き合っている連中でもそこまではしない、二人は全校生徒公認のカップルになろうとしていた。
『まあっ、今日も繋いでる』
『ラブラブね』
『あの二人、同棲してるらしいわよ』
『不潔よっ』
などなど、周りの噂話も耳に入らないのか、仲良く走って行く二人。
「待ちなさいっ!」
そして、それを追いかけている女は、「男嫌いの美坂香里」と知られていたので、「相方」を取られないように追いかけているのだと、もっぱらの評判だった。
「ねえっ、でも今年は何組なのっ?」
クラス分けを見ている生徒達を後ろに、疑問を洩らす名雪。
「同じだ」
「え? じゃあ香里は?」
「同じよっ」
「えへっ、じゃあ今年も二人と同じクラスなんだっ」
どちらと同じなのが嬉しいのか、ニコニコ笑っている名雪ちゃん。
「当たり前だ、去年と同じだからな」
「えっ? そ
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