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? はあ」
最初は寝ている名雪より少し早い程度だったが、毎日の行事なので、すでに一瞬で巻き終わるようになっていた。
「ゆ〜いち〜、すご〜〜い」
コーヒーも飲んで、やっと目が覚めて来たのか、相手がけろぴーではなく、祐一だと認識し始めたらしい。
「ほら行くぞ、立てっ」
「う〜ん〜〜」
それでも脳の大部分は寝ているのか、まるで伸びたテープか、スローモーションのような喋り方の名雪。
「じゃあ行って来ます」
「行ってらっしゃい」
「いっ…て〜、き〜ま〜す〜〜」
祐一に引きずられるように、ドップラー効果を起こしながら遠ざかっていく名雪の声。 その声はまるで、某銀河お嬢様伝説に出てくる、同じ声の「おっとりの詩織」のようだった。
「こらっ、それは秋子さんの靴だ」
「う〜ん〜〜」
「まあ」
仲の良い二人を見て微笑む秋子ちゃん、ちょっぴり羨ましそうにしているのは、気のせいかも知れない。
「ほらっ、時間が無いっ、走れっ!」
「う〜ん〜〜」
まだ寒い北の春、今日もダッシュで通学する二人。
「始業式からこれかっ、今年もずっとこうなのかっ」
「くーーーーー」
眠ったままの名雪を連れ、通学路を駆け抜けて行く祐一、冬なら外に出れば寒気で目が覚めたが、春にはより深い眠りが待っていた。
「そっちじゃない、こっちだっ」
「くーーーーーー」
真っ直ぐ走って行こうとする名雪の手を引いて、角を曲がって学校へと誘導して行く。
「急げっ、100メートル7秒で走れば間に合うっ」
「う〜ん〜〜」
そのスピードは、非公式ながら高校生日本新記録を上回ったとか、上回らなかったとか……
学校前…
「何とか間に合いそうだなっ、おっ、香里」
校門辺りで、予鈴に合わせたように登校して来た香里に追い付き、後ろから話し掛ける。
「あら、今日も手を繋いで通学?」
いきなり眉をしかめながら、刺々しい声で嫌味を言われ、言い訳を開始する祐一。
「違うっ、こうしてないと、こいつはどこまでも真っ直ぐ走って行くんだっ」
慣れて来たのか、祐一が止まると、ぶつからずにその場で足踏みをして、クールダウンまでしている名雪。
「おかしいわね? 去年は寝たままでも、ちゃんと学校に来てたわよ」
「何っ?」
人体の素晴らしい機能に、感動すら覚える祐一クン。
(このまま一人で来れたのか……)
名雪は朝起こしてくれる人がいたり、学校まで誘導してくれる人がいれば、さらに一段深い眠りに入れた。
「ほら、いい加減に起きろっ」
最後の手段として、謎ジャムが着いたトーストのかけらを、まだ荒い息をしている名雪の口に捻り込んだ。
「きゃっ! ゲホッ、ゲホッ、ううっ、ひどいよっ」
「やっと起きたか?」
「あれっ、わたしどうしてここにいるの?」
「去
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