序章
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んな事が許されるはずも無かった。
「どうすればいいの?」
(彼から他の女の子を遠ざける、そして最後に君が彼と結ばれる事)
「それでいいの? 本当に?」
(じゃあ決まりだね、行こうか)
「うんっ」
(ハハハハハハッ)
一時の騒乱から、静寂を取り戻した病室。
「今回は持ち直されましたが、危険な状態が続くと思います、他にもご家族がいらっしゃるなら、お早めにお越し下さい」
「はい……」
父は焦燥しきった表情で医者の話を聞いていた。
「あのっ、先生っ」
そこに駆け込んで来た看護婦に、外へ連れ出される主治医。
「どうした?」
「月宮さんがいなくなりました」
「そんな馬鹿なっ、意識不明の人間が歩き回るわけ無いだろ」
今回は生霊としてではなく、実体も同行しているあゆ、後ほど調査に入った警察でも、監視カメラに映っていた、歩き回るあゆの姿が確認されていた。
「娘は治ったんですね、そうなんですねっ?」
熱っぽく問い掛ける父だったが、それは医学的に有り得ない話で、医者もどうしても「そうだ」とは言えなかった。
「いずれにしても、お嬢さんは早急に保護します、服装はこのままだと思いますが、現金をを持っていると、交通機関を使ったり、服を着替えるかもしれません、所持金は分かりますか?」
事情を知らない警察は、直前まであゆが動き回っていて、偶然意識が戻ったのだと思っていた。
「いいえ、財布もお金も、何も持たせていません」
7年も寝たままで、筋肉が痩せ衰えて硬直した人間が歩くはずは無かった、医者、父親、警察の間では、オカルト事件から単なる失踪事件まで、かなりの温度差があった。
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