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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第四話 光と影…いやこの場合は闇か?
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「いい覚悟です、藤井さん。ですがそれは例え親しい者に対してであったとしてもそう言えますか?」
「如何いう事だ?」
「ですから、単純な話です。よもや気が付いていないわけではないでしょう。教会の人間である私が敵なのです。それはつまり……」
教会の人間が敵…まさか、いやでも、そんなことが…
「テレジアに対しても同様に殺すことが出来るというのですか?」
「そんな…まさか…?氷室先輩がそんな事するわけ!」
「無い、と本気でそう言い切れるのですか?貴方は本当にテレジアのことを知っているのですか?学年の違う生徒など知らないことのほうが多いでしょうに」
確かにそうだ。俺は氷室先輩のことを良く知っているわけじゃない。友人ではあるし、昼食を一緒に食べるくらいには親しいつもりだ。だけど、それは全部俺から見た氷室先輩に過ぎない。氷室先輩から見れば俺は親しいつもりでいた道化に映っていたのかもしれない。
「そういうことです。貴方ではテレジアを救えない。例えどれほど努力しようとも貴方が敵である限りテレジアを救うことなど出来はしない」
「そんなことは無い!俺は先輩だって救っ…「救えるわけが無いでしょう!敵である貴方に!!」……」
絶句してしまう。笑い話だ。元の日常に戻るために戦ってるのに元の日常の一人が敵だなんて。
「世界は何時だってそうなんですよ。報われない、救われない、私達の様な凡才では救える者など高が知れている。だからこそ私はテレジアを救う。あの子達(・・・・)を救ってみせる。その為なら、例えテレジアが好いているであろう貴方が相手でも容赦はしませんし、私自身を犠牲にしてでも救ってみせる」
神父が構えだす。俺なんかよりも堅い信念、揺らぎを見せない瞳。何もかも俺なんかよりもずっと強い意志。だけど、だからこそ…
「だったら、俺はお前らの親玉を止めてみせる。その上で氷室先輩も救う。だから、そんな悲しい事言うなよ、あんたが死んだら氷室先輩だってきっと悲しむ」
そう言わずにはいられない。この人は強い、それは認める。だけどそれ同時に脆い。
「貴方は、ハイドリヒ卿を知らぬからそのようなことが言えるのだ。彼は恐ろしい方だ。だからこそ私も憧れた。彼のようになりたいと。
故に、貴方は負けぬと、勝つといいますか。この私に?我々に?貴方が?ははは―――愛を信じて?打倒すると?なんて眩しい!
美しく羨ましく妬ましく愚かしい!実に実に実に至高!」
「それで、そうして真似して最後にはメッキに喰われるのがお望みかい?ヴァレリア」
それは突然現れた。闇夜に影として現れた存在。存在はまるでそこには居なかったかのように、けれどはっきりと、それこそまるで全てを見られるかのように…
「貴方は…」
神父が呟く。
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