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哀手 樢がぼんやりと目を開けると、目の前には石で囲まれた池があった。
「サンサーヴに囚われし少女、哀手 樢、略してさんでもく。来なさい」
そう言って樢の体をぐいと引っ張るのは、黒い作務衣に身を包み頭髪をすっぱり剃った中年の男だった。
「え、あ、あの」
樢は半ば引きずられるように着いていくも、わけが分からない。
そのまま『個人事業のフローレンス』と書かれた芳香漂う長い廊下を歩かされ、
「ここに入って座りなさい、さんでもく」
男が指示した真っ暗な部屋に足を踏み入れた。
その瞬間、
パン!パパン!ラパンデ!パンプキング!
クラッカーの音が盛大に鳴ると、部屋の電機が一気に明るくなった。
「樢さんお誕生日おめでとうございまーす!」
「おめでてぇぜぇ!」
「おめでたいでござる!」
「おめでとう、哀手さん」
「「「「コングラッチューショーン!」」」」
「へ、はぁ?」
樢は口をあんぐりと開けた。
樢の前で明るい顔をしてクラッカーを向けているのは、老伍路 夢値と、今まで樢を狙ってきたハンター達だったのだ。
「え、なんで、ていうか」
「ぼくが呼んだんですよ」
夢値が弾むようににっこりと笑うとハンター達も話が弾む。
「はぁん、いいじゃねぇかいいじゃねぇかぁ。めでてぇじゃねぇかぁ。ケーキ食いたいぜぇ。あとガラス食いたいぜぇ」
「ガラスとは忍者でござるな!拙者はアイドル存続の為に分かることをわからないように分かるでござる」
「みんな夢があって羨ましいな。俺はまず九九を覚えないと。それから南の島で学校に通わないと」
「「「「腹減ったぁぁ!」」」」
「……どうですか、樢さん?」
わちゃわちゃとみんなが騒ぐ中、夢値は樢にジュース入りのコップを渡した。
「決闘が終わったら、みんな仲間なんですよ?」
そう微笑む夢値を見て、決心のついた樢は息を吸った
「……えっと、さ」
少し大きめの声で話すと、ハンター達の話が止まる。
「私、今日誕生日じゃないんだけど!」
「「「「「「「「「えええええええええええええ!!!!」」」」」」」」」
樢は目を覚ました。
「おはようございます樢さん」
「おはよう」
自分の部屋のベッドで目を覚ましてから夢値と挨拶を交わすのにももう突っ込み疲れた。
「丁度良かったです」
夢値がそう言って向いた方では、
「決闘の勉強になりますよ」
「ん?」
ルベーサ・アガイタがうずうずしていた。
「さっさと決闘だぁぁ!3度目の正直だおぃぃ!完膚無きまでにぁ、ぶっ潰すぅ!!」
そうルベーサが吠えると、
「ふふふ、2度あるきめいる、サンドマンですよ」
夢値が微笑み返す。
対峙するかつての敵同士を見た樢は、
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