通りすがり
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たこの力。彼女以上の剣士なんてそうそういないだろうし、何よりこの人からはそんな雰囲気も感じない。すぐに倒して、ギブアップさせてやる。
ザシュッ
そう思って繰り出した二属性の翼。しかしそれを、彼女はまるで止まっている物体を斬るかのように冷静に剣を振るい、魔力の翼が簡単に斬り消されてしまう。
「さっきの子供といい、ただ魔力をぶつければいいとでも思っているのか?」
こちらに剣の先端を向け、姿勢を低くしていく敵。明らかに攻撃してくるのがわかるほどの殺気を放っている彼女の攻撃が如何なるものなのか、ちょっと様子見してみようと思う。
「そんなことでは・・・」
目を凝らして敵の動きをじっくりと観察する。魔力をどうやら持っていないようだから、主に筋肉の動きに集中していれば対処は容易いだろうし。
「私には勝てん!!」
動く、そう思った瞬間だった。さっきまで距離を開けていたはずの女性が懐へと飛び込んで来ていたのだ。
(これはカグラさんと同じ!!)
その攻めに見覚えがあった。カグラさんが最後を決める時に使う必殺の戦法。常人ではありえないほどの速度で間合いに入り、一気に剣を振り抜く。
(でも・・・)
これならいくらでも対応できる。すでに剣を振り抜こうと腕が動き始めていることから、どの位置に攻撃が入ってくるかおおよその特定が可能。俺はその場所に魔力を込めた手を持っていきガードしようとする。
ザクッ
しかし、間に合うはずだった防御を掻い潜り、光の剣が脇腹を切り裂く。
「何!?」
予期せぬ事態に思考が止まりそうになる。しかし、ここで弱味を見せるわけにはいかない。そう思った俺は体を無理矢理捻って蹴りを放とうとする。
「甘い」
そう呟いた女性は、柄の部分を使い振り出された足を払う。それにより完全にバランスを失った俺は地面を転がった。
「くっ・・・まだまだ!!」
こんなところで負けるわけにはいかないと立ち上がろうとした。その時・・・
ドクンッ
「ぐっ!!」
突如心臓が大きく鼓動し、呼吸が苦しくなる。
「滅竜の魔法に滅悪の魔法・・・確かに力は絶大だろうが、組み合わせが悪かったな」
「な・・・なんだと・・・」
胸を押さえて乱れる呼吸の中、こちらを見下ろす女性を睨み付ける。その間にもどんどん鼓動が早くなっていき、明らかに体に異常を来しているのが感じ取れた。
「二つの滅する魔を体内に入れることなど普通ならありえない。一時的に強大な力は得られるだろうが、バランスがわずかにでも崩れればたちまち体が危険信号を発する」
近寄ってきて首を掴み、ゆっくりと持ち上げられる。ただでさえ苦しいのに、これではなお苦しさが増幅してしまう。
「常に一定の感情な
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