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離れてはならない
第一章
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                      離れてはならない
 アフロディーテは愛と美の女神である。彼女には子供がいた。
 エオス、愛を導く神だ。その姿は奇麗な顔立ちの、母と同じくそうした容姿の少年だ。その彼に対してだ。アフロディーテはいつもこう言っていた。
「愛は男女の間のものだけではないのよ」
「他の愛もあるんだ」
「そう。親子の愛」
 それもあるというのだ。アフロディーテは優しい声で我が子に話す。
「同性の間でもあるけれどね」
「親子の愛」
「私は主に男女の愛を扱うけれどね」
 それが彼女が主に取り扱う愛だった。
「けれどそれでもね」
「親子の愛もあるんだ」
「その愛については私は貴方に何かをしろと言ったことはないけれど」
 エオスの持つその弓矢でだ。愛を結びつけることはだというのだ。
「それでもね。親子の愛もあるのよ」
「それはどうやってできるのかな」
「最初からあるのよ」
 そういったものだとだ。アフロディーテは話す。
「親が子を生んだその時からね」
「僕の弓矢で結びつけるものじゃなくて」
「そう。最初からつながってるものなのよ」
 それが親子の愛だというのだ。
「そうなのよ」
「最初からある愛なんてあるのかな」
 エオスにはわからないことだった。このことは。
 何しろ彼はまだ子供がいない。女性を愛したことがないからだ。だから親子の愛もそれがそうしたことであるということもだ。理解できなかったのだ。
 それでだ。こう言ったのである。
「本当に」
「あるのよ。だからね」
「だから?」
「私と貴方もね」
 アフロディーテとエオス、他ならぬ彼等もだというのだ。
「一緒よ。最初からつながってるのよ」
「親子として」
「そうよ。そうなのよ」
 こう言うのだった。
「だから私は何があってもね」
「僕のことを愛してくれるんだ」
「そうするから。つながってるから」
「何があってもなんだ」
「そうよ。私達は一緒よ」
 そしてだというのだ。
「二人一緒にね」
 こう言ってだ。そしてなのだった。
 アフロディーテは笑顔でエオスを抱き締めてだ。二人でだ。
 親子の一時を過ごしていた。いつもそうしていたのだ。
 その二人にだ。ゼウスから誘いが来た。その誘いとは。
「宴ね」
「僕達二人共呼ばれてるね」
「そうね。他の神々も呼ばれてて」
「ニンフも一杯呼ばれるみたいだね」
「面白そうね。それじゃあね」
 アフロディーテは乗り気の顔で微笑んでだ。こう言ったのだった。
「行かせてもらいましょう」
「うん、それじゃあ」
「それでね」
 どうかというのだ。アフロデ
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