第一章 天下統一編
第十話 軍議
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の厳しい表情ではない。
あれ?
秀吉は怒っていないようだ。
北条氏規の件は俺に任せると秀吉からお墨付きを貰ったに等しい。
「関白殿下、謹んでお引き受けいたします」
韮山城は北条氏規によって堀が増強されている。その上、韮山城に困る兵達は北条氏規の元志気は旺盛のはず。崩し処は伊豆国の有力国人である江川氏の一部が徳川家康に内通していることだろう。俺が北条氏規に接触しても信用されないはずだ。徳川家康に人を貸して貰う必要がある。もしかしたら徳川家康から接触してくる可能性も十分にあり得る。
「では、相模守の進言通り山中城を先に攻める。山中城は秀次お前に任せる。韮山城は内大臣にお任せできるか?」
秀吉は俺から視線を動かし織田信雄に言った。織田信雄は「かしこまった」と即答した。
「相模守、お前は先程申した通り内大臣に従い韮山城攻めに加わるのだ。内大臣、韮山城を必ず落としていただきたい。ただし、この相模守に北条氏規の身は一任して欲しい」
俺は心中でげんなりする。石田三成と別れられるが別の難題を押しつけられた気分だ。秀吉は織田信雄に「韮山城は必ず落とせ」と命令してきた。城郭巡りが趣味な俺が見た韮山城の平山城だが本丸は大軍で攻めれば簡単に落ちそうな構造だった。韮山城を見下ろす場所にある天ケ岳砦に籠もられる面倒だが織田信雄を大将とする四万の軍勢を三千で阻むことは無理だと思う。だから、織田信雄が意図的に積極的な城攻めを行わなかったのではないかと思った。
秀吉は俺を出汁にしたんじゃないかと勘ぐってしまう。北条氏規は反豊臣で強硬派じゃなく恭順派の主要人物だ。その上、徳川家康とは仲が良い。北条氏規は態々秀吉に謁見するために京まで足を運んでいる。当然、ここにいる武将達も徳川家康と北条氏規の仲について噂位聞いている人物がいると思う。その北条氏規を攻め殺すのは徳川家康の手前、気後れする武将がいてもおかしくない。だから、韮山城攻めに従軍する武将達は積極的に城を攻めないかもしれないと秀吉は読んでいた可能性はある。その一人である俺が言うのだから十分にあり得る。豊臣秀次辺りは気にせず北条氏規を殺しそうだが。
秀吉も北条氏規を殺す気がないから、織田信雄を敢えて韮山城攻めの総大将にしたのだろう。このままだと最終的には徳川家康が降服の使者を送り話をまとめる可能性が高い。それでは秀吉は納得できないのだろう。北条氏規に恩を売るのは秀吉自身じゃないといけない。そこで俺なのだろう。北条氏規に好意的な俺なら交渉役にはうってつけ。問題は北条氏規に交渉役として信頼されるかだろうが、俺の陣羽織は北条氏規に十分に効果があるに違いない。
城攻めは必ず味方にも損害が必ず出る面倒な戦いだ。だから、誰も城攻めを積極的にやりたい武将はいないと思う。それも相手が降服する可能
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