第一章 天下統一編
第十話 軍議
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
相模守。ではまず攻めるべき城は何処だ?」
秀吉が俺に聞いてきた。
「山中城にございます。山中城を落とせば関東の道を開けます。足柄城はその後で良いかと思います」
「その理由を聞かせてくれ」
徳川家康が質問してきた。
「足柄城と山中城。共に関東への入り口を抑えるための城です。しかし、足柄城は山中城より急峻な地にあり攻めるのは容易ではありません。それに山中城は強硬派と恭順派の武将が守っており一枚岩ではありません。今ならば足並みの揃わない山中城を大軍にて一気呵成に攻め落とすことができます」
これは歴史の史実の受け売りだ。豊臣秀次率いる七万の大軍で攻めて一日で落ちている。上が足並み揃わないなら城に籠もる兵達だって足並みが揃うわけがない。
「韮山城はいかがする?」
今度は秀吉が俺に聞いてきた。
「攻め落とさなくとも無力化できます。大軍で囲めば補給の期待できない韮山城は城外での戦闘を避けるはずです。それに北条氏規は北条家中においては恭順派の筆頭と言えます。その人物を韮山城に配置した理由は彼が北条一門というだけなく、信頼できる人物だからでしょう。韮山城を失えば伊豆の国人に動揺が走るでしょう。その意味で北条氏規は適役と言えましょう。関白殿下のご威光を理解する北条氏規は血気にはやり軽はずみな行動はしないはず。彼は韮山城の死守を至上命題と考えていると思います」
「だから、城を包囲する最小限の兵だけで良いと言うか? 甘いな」
秀吉は鋭い目で俺のことを見た。
「相模守、韮山城を攻め落とす必要はないと申すことに他意があるであろう」
秀吉は見透かすような目で俺のことを見ていた。
「いいえ。いえ、ありました」
俺は徳川家康に恩を売ろうと思っていた。北条氏規は幼少時代に駿河今川家の人質になり、同じく今川家に人質になっていた徳川家康と知り合いで関係も良好なようだ。だが、これをそのまま言うと秀吉の心象を害すに違いない。
「北条氏規について調べ優秀な人物と思いました。北条氏規は関白殿下のお役に立つはずです。北条が関白殿下に恭順するべく動いた人物です。韮山城に籠もるのは北条一門としての責務からでしょう。大軍を前にしても怖じ気づき裏切ることをよしとしない。その武士振り。殺すには惜しい人物と思いました。また、北条氏規を生け捕りにすれば、小田原城に籠城するであろう北条氏政、北条氏直の交渉に利用できるかと思います。出過ぎた浅知恵を弄しまして申し訳ございませんでした」
俺は秀吉に対して底心抵当頭を下げ謝罪した。
「相模守、お前の言い分は最もである。儂も北条氏規を殺すには惜しいと考えていた。そこまで申した以上、お前は韮山城攻めに加わるのだ」
俺は秀吉の命令に戸惑い顔を上げた。秀吉は先程まで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ