第一章 天下統一編
第十話 軍議
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では伏せておこう。俺の手の内を全て明かす必要もない。
史実通り北条氏は箱根を最終防衛線と見ているようだ。豊臣軍を阻む天然の要害である箱根山系の要所である足柄城、山中城、そして韮山城に兵を集めている。韮山城に北条氏規が残る理由は伊豆国人の離反を食い止めるためだろう。守ってくれない旗頭に国人領主が従う訳がないからな。その意味で北条氏規は損な役回りだな。今回、韮山城は完全に孤立するはずだし戦は兵の数だ。大軍で攻めれば韮山城は一気に陥落するはず。だが、史実では四ヶ月間も抗戦し徳川家康の仲介で降服した。多分、韮山城の総大将である織田信雄が北条氏規が恭順派であったため城攻めに本腰を入れなかったのだろう。
「若輩者の浅知恵にございますが披露させていただきます」
俺は言葉を切った。
「そのような端で話しては聞こえない。もっと、前に出て話せ」
俺が話を始めようとすると秀吉が俺を制止して折り畳んだ扇子を振り俺を呼びつけた。俺はしばし沈黙した。これ以上前に出ると秀吉から貰った陣羽織が凄く目立ってしまう。今でも俺の陣羽織を見る武将達の視線を感じる。前に出ると武将達に俺の陣羽織に刺繍された五七の桐紋がまざまざと見える。
「何をしている。前へ来い」
秀吉が躊躇する俺に少し強い口調で呼んだ。拒否権は無いようだ。
「失礼いたします」
俺は渋々秀吉がいる前へ進み出た。
「もっと前へ来い」
秀吉が扇子を振り俺を呼びつける。明らかに俺の陣羽織を武将に見せつける意図がありそうな気がした。背中に視線が集中しているのを感じる。
俺は武将達の視線が集まる重圧の中、俺の北条攻めの考えを語り出した。
「北条は箱根山という天然の要害を利用して我らの侵攻を押しとどめようと考えているはずです。その証拠に東海道と関東を繋ぐ街道の要衝にある城に兵を集めております。その城は山中城、足柄城にございます。これとは別に韮山城にも兵を集めております」
俺は言葉を切る。
「続けよ」
秀吉は顎髭をいじりながら機嫌良さそうに俺のことを見ていた。その場にいる武将達は異様な存在を見るような目で俺のことを凝視していた。
「韮山城は北条氏にとって重要な城です。北条家初代当主である早雲公の城、北条氏の栄華の象徴といえる城です。この城の城主は北条氏規です。ですが、この城は落とさずとも我らの進軍を阻むことに支障はないと思います」
「ほう。何故、落とさずともいいと言い切れる」
豊臣秀次が俺の話に割ってきた。秀吉は面白そうに豊臣秀次と俺の顔を交互に見た。
「北条氏規は関白殿下のお力を十分に理解しているはずです」
「何故そう言い切れると言っているのだ」
豊臣秀次は威圧的な口調で俺に聞いた。このおっさんは何で俺に突っか
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