第一章 天下統一編
第十話 軍議
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先起こるであろう秀次事件に連座したくない。
不安要素は俺の弟、豊臣秀俊(小早川秀秋)、だ。弟は秀次と中が良かったみたいで、その所為で弟は秀次事件で連座し改易され丹波亀山十万石を没収される。
俺は軍議の末席に用意された自分の床几に腰をかけた。俺が床几に座ると視線を感じた。理由はこの陣羽織だろう。俺は自らがまとう陣羽織にもう一度目をやる。凄く派手で目立つ。俺はもう少し大人しめの色が好きだ。
ここは黙って大人しくしておこう。ここで目立つより、戦場でそつなく手柄を上げた方がいい。だが、俺の期待は裏切れるに違いない。軍議の場で俺を調度品のように座らせたままにするつもりなら、秀吉がここに呼ぶわけがない。
俺が居心地の悪くしていると、軍議の進行役、石田三成、が偉そうな態度で軍議の場に集まる諸侯達に向けて話をしていた。豊臣系大名と思われる人物達の表情は固い。石田三成に一物抱いているのだろうが秀吉の手前露骨な態度は出せないのだろう。
「小出相模守、お前は如何に攻めるべきと考える」
俺が諸侯達の様子を窺っていると、秀吉が俺に声をかけてきた。軍議の場にいる武将達の視線が俺に一気に集まる。秀吉、徳川家康、石田三成以外の者達は俺に意見を求める理由が分からないという雰囲気だった。
そうだよな。俺もそう思う。
「関白殿下、若輩の身の私めが歴戦の諸将の皆様方の前で考えを披露することは僭越かと存じます」
俺はやんわりと断った。
俺の口振りに豊臣秀次は当然そうに肩を張り横柄な態度を取った。その様子を加藤清正、福島正則は馬鹿にした表情で見ていた。この二人と豊臣秀次は仲が悪いようだ。
小牧・長久手の戦いにおける豊臣秀次の戦績を考えると愚将に分類される。しかし、俺は豊臣秀次の戦歴についてそれしか知らない。公家や武家と上手く交流をしていたところを見ると政治面ではそれほど無能で無いように思う。だが、秀吉とはくぐり抜けた場数では太刀打ちできる訳がない。俺も豊臣秀次も秀吉の着せ替え人形のようなものだ。だから、その負わされた役目を演じざるをえない。精々用済みにならないように気をつける必要がある。くれぐれも豊臣秀次のように粛正される末路だけは御免被る。できれば北条征伐後は嵐が過ぎ去るまで関東に引き籠もっていたい心境だ。
「小出相模守、そう謙遜するこもあるまい。お前の考えを聞かせてくれ」
秀吉が再度意見するように命じてきた。秀吉に二度も請われれば断る訳にもいかない。
俺もこの辺りの情勢について何も知らない訳じゃない。事前に藤林正保に命じて伊賀の忍びを駿河国、伊豆国、相模国に送り込んでだいたいの情報は掴んでいる。流石というべきは徳川家康だ。徳川家康は伊豆国の有力国人を調略し引き込んでいる。だから、伊豆国はもう一枚岩じゃない。この情報は軍議の場
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