第二十八話 再会した薔薇達その十三
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「必ずだ」
「お子を授かる」
「そうなるからこそ」
「是非共」
「今夜も励む」
太子は実際にこう言ってだ、この夜もマイラと共にいた。だがマイラはその次の日だった。床を出て朝食を食べてだった。
彼女についている典医にだ、こう言われた。
「どうもです」
「どうもとは」
「はい、お身体の調子が優れませんね」
「そうですか」
「血流が悪いです」
具体的にというのだ。
「お顔の色も」
「そうですか」
「お身体は大事に」
くれぐれもというのだ。
「休まれてです、そして」
「そのうえで、ですね」
「滋養に効くものもです」
「口にすることですね」
「そうです」
典医はマイラに確かな声で告げた。
「お願いします」
「はい」
マイラはその白い、雪の様な顔で応えた。そうしてだった。
診察を受けたが典医はその診察の後で彼の助手達に言った。
「マリー様は常に健康であられると聞くが」
「マイラ様はですね」
「あの方は」
「ご幼少の頃から病弱であられたしな」
それにというのだ。
「特に近頃はだ」
「お身体が優れない」
「そうなのですね」
「うむ、ここは滋養に効くものを食事に出す様に」
典医は考える顔になりだ、助手達に話した。
「料理人に話しておこう」
「口にするもので健康が変わる」
「近頃よく言われていますね」
「だからこそですね」
「料理人の方にもですね」
「そうだ、だがあの方はお食事も質素だ」
信仰に忠実にとかく何でも質素であるのがマイラだ、だから食事もまた非常に質素であるのだ。しかしだとだ、典医は言うのだ。
「滋養にいいものも贅沢だrと思われれば」
「これまではですね」
「お口に入れませんでしたね」
「しかしそれは、ですね」
「かえってよくないのですね」
「どうも過度な美食も粗食もだ」
マイラの場合は後者になる、信仰を守るあまり。
「身体にはよくない」
「中庸ですね」
「それがいいのですね」
「だからですね」
「ここは」
「そうだ、料理人にあえて言ってだ」
そしてというのだ。
「作ってもらいな」
「滋養のある料理をですね」
「そうしたものを入れたものを」
「作ってもらいそしてですね」
「そのうえで」
「マイラ様に召し上がって頂く、贅沢がお嫌なら」
マイラのその気質も考えてのことだ。
「質素で滋養のいいものをりお食事に出す」
「そしてそのうえで」
「何としてもですか」
「マイラ様に召し上がって頂き」
「お身体を」
「そうしよう」
典医はこう言って動いた、マイラの身体のことに気付いたが故に。彼女の身体のことはまず彼が気付いた。
第二十八話 完
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