第九十八話 蛍光その十一
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「それで外に放ってるんだ」
「こうしてなのね」
「そうなんだ」
目の前に一匹来た、けれど虫本体は見えず光だけが見える。
「それがこの子達なんだよね」
「奇麗よね」
「ずっと見ていたいよね」
「何かね」
こんなこともだ、ダオさんは僕に言った。
「捕まえてお部屋の中でずっと観たいわね」
「蛍の光だね」
「その光を本を読むことはしないけれど」
歌にあったことだ、蛍の光は中国の古典から来る言葉らしくてある人が夏の夜に蛍を捕まえてその光で学問に励んだ故事から来る言葉らしい。
「ずっと観ていたいわね」
「気持ちはわかるけれどね」
「持って行ったら駄目よね」
「そうした人が出るって事前にわかっていてね」
「植物園の人達が」
「うん、そうなんだ」
さる者と言うべきだろうか。
「それでこのお部屋にも植物園の人がいるよね」
「そうした人に注意する為の人なのね」
「あと色々トラブルが起きない為にもね」
「いるのね」
「泥酔して来る人もいたりするから」
迷惑千万なことにだ。
「蛍酒とかいってね」
「風流は風流ね」
「けれど風流は人に迷惑はかけないよ」
本当の風流はそうだとだ、親父が僕によく言っていた。粋というものにも通じてそして人に迷惑はかけないものだというのだ。
「それは只の迷惑行為だよ」
「お酒飲んでここに来て暴れたら」
「飛行機の中でヨガさせろって言って暴れるのと同じだよ」
「それは変態でしょ」
僕が今言ったことにはニキータさんが言ってきた。
「飛行機の中でヨガって」
「それで捕まった人いるらしいよ」
「よくわからない人ね
「僕もそう思うけれどね」
何でそんなことをやろうとしたのか理解出来ない、お酒を相当飲んでいてそれで言ったにしてもそうはないと思う。
「そうした人がいたんだ」
「ブラジル人じゃないわよね」
「八条荘のどの国の人でもないよ」
従って日本人でもない、そうであって本当によかったと思った。
「言っておくけれど」
「そんな変態さんは」
「変態だね、確かね」
「有り得ないレベルの」
ニキータさんはこうまで言った。
「そうとしか思えないわ」
「イギリスからの留学生の子にこの話したら」
「何て言われたの?」
「クレイジーだったよ」
「文字通りね」
「そんな愉快なことを出来る発想がわからないって言ったよ」
「私もわからないわよ」
ブラジル人のニキータさんもだった。
「全裸でエルドラド探しに行くよりも凄いわね」
「エルドラドって」
「あるって噂まだあるわよ」
「そう言って探しに行って帰って来なかった人いたんじゃ」
二十世紀にだ、しかもそのヨガの話を僕から聞いてクレイジーと言ったその国の人だったと記憶している。
「遭難して」
「
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