第九十八話 蛍光その九
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「メナム川の流域はね」
「蛍多いのね」
「タイってメナム川以外にもお池も多いから」
「他の川もよね」
「そう、多いからね」
だからだとだ、モンセラさんに話していた。ラブポーンさんも淡く緑に光って飛んでいる蛍達を見ている。上下左右様々な高さをゆらりと飛んでいる。
「蛍もね」
「多くて」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「蛍も多いの」
「いいことね、メキシコはそこまで大きな川はね」
「メナム川みたいなのは」
「ないから」
だからだというのだ。
「蛍もいるけれど」
「それでもなのね」
「そこまで多くはないのよね」
「蛍はお水も必要だからね」
「奇麗なお水がね」
まさにそれがだ、蛍は一定の暑さとこれが必要なのだ。
「それがあるだけね」
「蛍も多いのね」
「タイはそうだと思うわ」
「それを言うとベトナムもよ」
ここでダオさんも言ってきた、蛍達をずっと見ながら。
「蛍多いわよ」
「そっちはメコン川よね」
「そう、何と言ってもね」
この川について誇らしげにモンセラさんに話した。
「あの川よ」
「ベトナム人の誇りね」
「タイにメナム川があればね」
ラブポーンさんへの対抗心も見せる、どうもタイとベトナムの人達はお互いに何も言わないしぱっと見わからないけれどライバル関係にあったりする。八条学園ではどっちの国の留学生も多いのでそうしたのが見えたりする。
「ベトナムにはメコン川よ」
「その川があるから」
「そうよ」
まさにというのだ。
「蛍も一杯あるのよ」
「気候も気候だから」
「お米が三回採れてね」
「お米もなの」
「その水田に一杯いるのよ」
「いいわね、それ」
「蚊も多いけれどね」
ダオさんはこの虫については少し苦笑いになって述べた。
「あの虫もね」
「それはいらないわ」
「いらなくてもいるから」
「ベトナムでも」
「そう、うじゃうじゃとね」
「そうなのね」
「けれどここにはいないから」
植物園の温室の中にはとだ、ダオさんは微笑んで言った。
「有り難いわ」
「蚊には注意してるからね」
ダオさんに僕が話した。
「それでなんだ」
「蛍はいてもなんだね」
「そう、蚊はいないよ」
「それは有り難いわね」
「蚊の退治の方法も色々あるんだよね」
これが実に多い、困った存在だけにあの手この手で退治の方法が考慮されてそのうえでのことなのだ。
「水溜りをなくしたりお池に金魚を買ったり」
「ああ、金魚ね」
「そう、あと水溜りに油撒く人もいるね」
「油?」
「そう、油で水を大気中の酸素と分けるんだ」
「それでボウフラを窒息させるのね」
「まずはボウフラだからね」
蚊はボウフラの成虫だ、このことが極めて重要だ。
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