UNLIMITED04――初戦――
[3/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た。
ヴァルキリープロジェクト参加者の一人であるフランカ=ポルシェは、日本へ向かおうとしているアオイ=源吾、イ=スナ、獅子王凱を見送る為、外へ出ていた。プロペラの風圧が、フランカの淡いピンク色の髪を揺らす。
「先日はありがとう。フランカ」
そうアオイ博士にいわれて一瞬、礼を失することになる前に、何とか一礼できた。
「いいえ、私のほうこそ、ありがとうございました、アオイ博士」
するとフランカは、何やら怪しげな笑みを浮かべて、凱を見やる。その視線を受けて凱はギクリとする。
「今度また、ガイさんの身体調査をさせてください。ここまで興味を持てたのは聖痕体のアオイ=カズヤさん以来ですよ?」
うーん?この雰囲気はどこかパピヨンかスワンに似通ったところがあるな。自分の定期健診の苦い思い出が蘇ってくるようだ。(※1)
だが、今後はそういった身体検査も本当に行われるであろう。新型IDアーマー『殲滅特殊装甲服』はまだ実戦データにおいて真っ白な状態だ。戦闘経験値蓄積による凱のアビリティ向上に合わせて、IDアーマーのOSをアップデートする必要がある。これを怠った場合、勇者のステータスを底上げするはずの鎧が、逆に重りとなるからだ。耐久値、EN値、運動性、限界反応値等々、細かい項目を随時修正するには、現段階だとアオイ博士やフランカに依頼しなければならない。ハードたる凱の能力に、ソフトたるIDアーマーがついていかなければ、GGGクーデター時に発生した『エヴォリュアルシステムのフリーズ』のような痛恨事を繰り返す。その事実を、凱は深く理解していた。
「獅子王君、エヴォリュダーの肉体はパンドラの占める時代では、もしかしたら辛いかもしれない。だが、我々は君の味方だ。何でも頼ってほしい」
「ええ!その分、たっぷり研究に微力ながら協力させてもらいますよ!」
「なんと……すでに気づいていたか」
アオイ博士の励ましに、凱は誠意をもって返事する。元々、アオイ博士は対ノヴァ専任顧問という重責のある立場の人物だ。近いうちに、シュバリエへ一時帰還することが言い渡されていた。ヴァルキリープロジェクトのような秘匿計画もある為、得体の知れない組織を刺激させないためにも、言う事を聞くしかなかった。
「日本ゼネティックスには綺麗なお姉さんがいっぱいいるから、本当ならシュバリエ本部に帰りたくないのだよ」
アオイ博士側が折れるときになったとき、つい本音を漏らした感想だった。先日、スナにセクハラ発言をした時から「そういうヒト」なのかと認識していたが、やはり彼らしいと凱は思った。
三人はもう一度、それぞれフランカに礼を言ってから、軍の輸送機に乗り込んだ。
日本ゼネティックスが、待っている。
『日本・東京・イーストゼネティック
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ