UNLIMITED04――初戦――
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経、瞬発力、認識力、適応性を持つ異次元体だからこそ、多次元的な殺傷を可能とする――という事実だ。
奴らに対抗する為にも、人間達は旧世代のパンドラを凌駕する性能を、次世代のパンドラに求めた。それまで実用化のめどが立っていなかったボルトテクスチャーによる質量装甲、聖痕の開放レベルを解禁するパンドラモード。極端に小型高性能化したSSS(スティグマ・サテライト・システム)なのである。
しかし、無敵とも思えるパンドラを戦場の姫君に仕立てたものの、それを運用するパンドラ自身と実践における経験値は、全く解決されていなかった。要するに、ボルトウエポンやボルトテクスチャーたる物理的要素に、聖痕自体の処理的要素が追随できていなかったのだ。結局のところ、人類がそれを実戦の場において用いることになったのは、皮肉なことにアオイ=カズヤというリミッターの力によるものである。
骨格の3割以上が聖痕による構成体という驚くべきスペックを持つ少年の存在を、ゼネティックス要人は深刻な脅威と受けとめた。なにしろ、元々パンドラの聖痕暴走を危惧して生み出されたリミッターシステムなのだが、逆転するかのようにパンドラを完全停止させる彼のフリージングは、本来のリミッターの運用目的を逸脱している。彼自身が強力なフリージングを制御できなければ、強制停止の氷嵐に巻き込まれパンドラは当然無力化となる為、彼に対する聖痕組織とフリージングの秘匿は最重要課題となる。
だが、そうなると今度は別の問題も生じてくる。
ノヴァクラッシュに対するパンドラの損耗率が新兵の志願率を上回ること。それに伴って、アオイ=源吾が秘密裏に試験運用している『ヴァルキリープロジェクト』における、聖痕補充器を換装するという発想は、その問題に対する一つの回答ともいえるだろう。
それにしても……異次元体と同等の物質である聖痕を人体に直接運用させることによって、ヒトは初めて本当の意味で、ノヴァという存在に指をひっかけることができたのではないだろうか?
脆弱な肉体を持つ人間と、それのみでは意志を持たない聖痕は、ひとつの一式としてみれば、未知の可能性を秘めた新たな新人類と言えなくもない。
ただ、その進化の萌芽にノヴァクラッシュという戦争の土壌が必要とされたことは、いつの時代もそうではあるが、絶望な事と言わざるを得ないだろう。
――聖戦という大地に、種が息吹く未来は……果たして希望か、絶望か――
『ドイツゼネティックス・パンジャ研究所・屋上ヘリポート』
一隻の、軍用ヘリが留まっている。
アオイ博士から新型IDアーマーを受け取った凱は、現役最強パンドラであるスナと耐久テストを得て、異国の大地を離れようとしてい
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