UNLIMITED04――初戦――
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パンドラ――人間の女性を基礎母体にした聖痕媒介者の前進は、ハイエンドスキルなしの武装が頼りの神風特攻隊だった。ちっぽけにしてありふれた人間の身体が、のちに質量兵器を素通りして戦局を占う主力兵士へと変わっていくことを、一体誰が予想しただろう。
人間は自在に動く2本の腕と、平面以外の移動を可能にする2本の脚、さらにそれらを統合する高度な判断知能をもっている。この、究極の汎用構造を持つ生物に兵器としての開発を見出したシュバリエの科学者たちは、高次元での戦いを征する兵器こそが、人間と異次元体の戦いを左右すると信じていた。
それは、戦闘機よりも優れた機動力――
それは、戦車をも上回る強固な防御力――
それは、戦艦よりも凌駕する火力を有すること――
『神』と比するノヴァへ手をかけるには、何より生き延びるための『力』がなくてはならない。
こうして開発された聖痕技術は、それまで主戦力であったミサイルや拠点防衛装置に変わって台頭し、数多の犠牲と引き換えに、めざましい働きを見せたパンドラは体一つで戦局を左右するほどとなった。
だが、技術者たちにも誤算が生じていた。それは、万が一暴走したパンドラの抑止力として開発されたはずのリミッターの『フリージング』が、ノヴァとの戦闘において高い順応性を示した事である。
異次元体襲撃、通称『ノヴァクラッシュ』に際して、シュバリエ側は同調率の高いパンドラとリミッターを一対として、ノヴァの戦線へ次々と送り込んだ。これらの戦力は、ノヴァの鎧袖一触を体現する『フリージング』による制約下において、なくてはならぬものとなった。
物質の強制停止領域を降された地上では、リミッターのフリージング領域が、パンドラの主な活動可能領域となる。その性質上、フリージングによって阻害された領域では、ミサイルのような遠距離からの攻撃が全くの無効となる。通常兵器が早くも骨董品となる中、主戦力となるのがパンドラとなる。人間の女性のみがパンドラになれるという特性故に、『総』よりも『個』としての高い機動力と火力を求められた。
鉄を寄り集めた高級な飛び道具より、一人のパンドラが有効とされる時代となったのである。
その事実は初戦してから幾多の聖戦を得て、各国の主要人にも認知されるようになる。シュバリエが拿捕した超越式パンドラ、『マリア=ランスロット』を研究し、独自に対異次元体兵器の開発に着手したのは、その認識があったからこそだ。
ほぼ同時期に、最先端の技術を持つとされるアメリカにおいてもまた、聖痕運用の開発が進んでいた。
シュバリエを軸として各国は互いに利用し合う形で、共にいくつかのボルトウエポンを生み出すことに成功する。だがじきに彼らは『ヒト』としての壁にぶち当たることとなる。
パンドラを遥かに超える反射神
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