アルカンシェル
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してトマトの酸味が口の中を綺麗さっぱりにしてくれて、次の一口を早く早くと自然に要求させる! これは一口を楽しもうと思えば飴玉ぐらい長く堪能できるし、一回飲み込むだけで胃袋にすごい充足感を与えてくれる! しかも片手でも食べられるから、忙しい人でも仕事の合間に手軽に食べられる! なんていうか、砂漠で鍛え上げた戦士がお姫様を迎え入れるように紳士的っていうか、どんな絶体絶命な状況でも心の底から力強く支えてくれるパワーがあるっていうか、もうそんな感じだよ!!」
「あ、あのフェイトちゃんがすごい饒舌にリポートしとる……。こんなフェイトちゃん、初めて見たで」
「彼女がこの状態になるのは二度目だぞ。アタシの知る限りでは、だが」
「でもフェイトちゃんの気持ちは私もよくわかるなぁ。だってこれ、すっごく美味しいもん。精力が湧く料理だから元気も出るし、そのおかげでニブルヘイムの寒さで力が出なくなるなんて情けない事態は避けられそうだし、至れり尽くせりだね」
「うん。美味しい料理って、それだけで生きる活力が湧いてくるものだ。僕だって、うますぎる!! って叫びたくなるほどだし」
「それに一緒に入ってたデザートのゼリーも美味しかったし、とても満足できた。食べるだけで幸せにするということの意味が、料理に込められた愛情から伝わってきた気がするよ」
アインスの感想には全員、何の疑念もなく同意した。食事を終えた後も力が溢れてくるような感覚を味わいながら、ジャンゴ達は決戦の時を待った。
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新暦67年9月24日、20時31分
ミッドチルダ北部、聖王教会領地。
台風のような大雨が降り注ぎ、嵐が吹きすさぶミッドチルダ。まだ明るい部屋がいくつか残る教会の中、レヴィはアウターヘブン社から連れてきた信頼できる二人の部下を率いて突き進み、アルビオンの執務室の前に止まるなり、扉を力づくで蹴破って入る。
「邪魔するよ」
ドスの効いた声でそう言ったレヴィだが、鍛え上げてきた戦士の勘が反射的に彼女をバルニフィカスで防御させる。直後、間一髪で相手の不意打ちをせき止めた。
「神聖なる教会に野良PMCごときが攻め込んでくるとは……罰当たりにも程がある」
部屋の主だったアルビオンはレヴィ達が来るのをまるで事前に知っていたかのごとく、既に戦闘準備を整えた状態で襲撃してきた。聖王教会の一画が今の衝突で爆発し、レヴィの身体も防御したとはいえ勢いを抑えきれず後方に吹き飛ぶ。追撃を仕掛けてきたアルビオンの刃をレヴィは歯を食いしばって空中で防ぐ。
「お前達のような根無し草に戦いの礼儀なぞ無用、無謀な勝負を挑んだことを後悔させてやろう」
「他人のこと言えないでしょ、アルビオン大司教。むしろ罰当たりな
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