アルカンシェル
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新暦67年9月24日、18時55分
「起動。これで少しは手向けになる」
石造りの部屋、壊れたシリンダーを背景にネピリムはコンソールに何かを入力し、暗黒転移で立ち去った。直後、その部屋は大きな振動に襲われた。
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新暦67年9月24日、19時30分
マザーベース、作戦会議室。
次元空間用レーダー画面に映し出される、巨大な物体。それはL級次元航行艦以上の常軌を逸したサイズのメタルギア……否、最早メタルギアではない。正確にはアーセナルギア級と呼ぶべき代物で、アルカンシェルのツインキャノン砲が甲板の中央部に設置されていた。そしてたった今、その砲台からフェンサリルへ向けて次元跳躍弾頭が発射されてしまった。着弾すれば世界を消し去る弾頭は砲口から出た直後に次元空間へ入り込み、次元航行艦の何倍もの速さで目標地点へ直進していく。
「その速度から逆算した結果、フェンサリルに着弾するまで残り……9分28秒です」
重々しく発せられたユーリの言葉に、通信の向こうにいるなのは達は沈黙する。気持ちの整理をするには十分だが、避難するにはあまりにも時間が足りなさ過ぎた。その死刑を待つ囚人と似た状況は、なのは達にまるで真綿で首を締められるような息苦しさを与えていた。
これまで追ってきた核兵器が自分達を釣るための餌……計画の要でもあったが、同時に本命の居場所を隠し通すための囮でもあったことに、ユーリはスカルフェイスの用意周到さに悔しさを隠せなかった。
「(兵器を量産して管理外世界に売り渡すなら、その銃口が自分に向く可能性も想定します。そうなっても対処できるように、スカルフェイスは全てのサヘラントロプスの性能を上回るか、制御を奪える機体を用意していたのは想像に難くなかった。それに気づいてから私はずっと対策を講じていたのに、まさかアーセナルギア級を作り上げていた上、後一歩間に合わなかったなんて……!)」
だが後悔しても遅い。次元跳躍弾頭は冷徹に、迅速に、無慈悲にフェンサリルへ突き進んでいく。スカルフェイスの居場所を探知した際、ユーリはすぐに次元跳躍弾頭を迎撃する特殊兵器を出撃させていたのだが、想定より早く発射されてしまったため、まだ指定のポイントにたどり着けていないのだ。今すぐ他の対策を取ろうにも、全然時間が足りない。このままフェンサリルが消滅するのを指をくわえて見ているしかできないのか、と誰もが無念に思った……その時。
「なんですか、この反応……! ユーリ技術部長、次元跳躍弾頭の射線上に巨大な物体が移動してきています!」
「識別信号、特定しました。これは……時の庭園です! ジュエルシード事件の後、地球の近くで廃棄されていた時の庭園が、どういう訳か移動しています! このままい
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