第十一幕その三
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「大事なのはね」
「そういうことなんですね」
「そうよ、私達も欲が深いわよ」
トロットはにこりと笑って述べました。
「いつも楽しい思いをしたいって願っていてね」
「その為に動いているから」
「欲が深いわよ」
そうだというのです。
「こうして冒険も楽しんでるし」
「欲と言っても色々なんですね」
「私が無欲だったら」
またビリーナが言ってきました。
「虹色の菫の種なんて欲しいと思ってないわよ」
「そういえばそうね」
「自分お国に咲かせたいなんてね」
それこそというのです。
「思わないわよ」
「そういうものなのね」
「そう、欲は上手に使うことが大事なの」
「成程ね」
「じゃあその欲を上手に使ってね」
そしてと言うのでした、ここでまた。
「種を手に入れるわよ」
「今からね」
こうお話してでした、そのうえで。
一行は角を右に曲がりました、その先はまだ見えてはいませんがそれでもです。ビリーナは確かな声で言うのでした。
「さあ、ここをまっすぐに進めば」
「種に辿り着けるのね」
「そうよ、歩いて行けば行き止まりがあって」
それでというのです。
「そこにあるのよ」
「種が」
「じゃあ行きましょう」
「種のところまで」
「歩いてね」
こうお話してでした、皆で先に先にとです。角を曲がってからも進んでいきました。そして遂になのでした。
先が見えてきました、ですが。
道にでんとでした、緑色のドラゴンが丸くなって寝ていました。蝙蝠の羽根があって尻尾と首は長く頭いは二本の角もあります。
そのドラゴンを見てです、ビリーナは極めて冷静に言いました。
「あら、ドラゴンね」
「あらって」
「だからお話してたでしょ」
「地下にはドラゴンの巣もあるから」
「出会うこともあるのよ」
「だからなの」
「こうして会ってもね」
それでもというのです。
「私別に驚いてないわよ」
「そうなのね」
「左の方に道が出来てるわね」
ビリーナは寝ているドラゴンの左手に視線をやって気付きました。
「そういえば」
「じゃああの道は」
「そう、ドラゴンが掘ってきた道でね」
「それでここに出てなの」
「寝てるのよ」
まさにというのです。
「ここがいいと思ったのでしょうね」
「寝る場所に」
「それで寝てるのよ」
「それはわかったけれど」
「わかったけれどっていうのね」
「あのドラゴンさんがいたら」
それこそとです、ナターシャはビリーナに言うのでした。
「先に進めないわよ」
「ええ、わかってるわ」
「わかってるの」
「わかっていて冷静なのよ」
「じゃあ解決方法は」
「もう頭の中にあるわ」
ビリーナのそこにというのです。
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