ファラオの案内人
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金か!?」
ファラオに詰め寄ると、奴は淡々と語り始めた。
「平和裏に、兄にファラオの座を明け渡す為ですかねぇ」
「なんで!?俺だって聞いた事あるぞ、あんたら兄弟の権力闘争のことは!」
現ファラオ『ツンタカアトン』と『ツンタカアメン』による激しい権力闘争のことは、俺たち一般の民にも漏れ聞こえてきていた。今ここにいる『ツンタカアトン』の死は、兄『ツンタカアメン』の手の者による暗殺である、と専らの噂だ…と、最後の面会に来た妻に教えてもらった。
「―――私たち、めっちゃ仲良しですよ?」
「はぁん!?」
ファラオの話によると…彼ら兄弟は、小さい頃から『神のボードゲーム』とか『歴代ファラオの壁画のマネ』とか下らない遊びをしながら仲良く育った、稀に見る仲良し兄弟だったという。何しろ王宮に年の近い子供は少ないし、偶に見つけても対等な立場で遊んでもらえないし、貴重な『対等の遊び相手』だった。
「ただまぁ…こういう話ではありがちな事ですが…私たちがある程度の年になると自然と『取り巻き連中』というのが出来始めるのです。正直私たちは、どっちがファラオになろうとどうでもいいことなんですけど、取り巻き連中にとっては死活問題なのです」
そりゃあ、なあ。自分が掲げる王族がファラオになるかどうかで今後の立場は変わってくるしなぁ…。
「で、現大臣と兄の側近がもう…相性が最悪で、取り巻き同士の権力闘争が洒落にならないレベルで盛り上がって参りまして」
「ほうほう」
「このままではどっちかが暗殺される。兄が殺されることになったら哀しくて仕方がない。兄もそう云っていました」
「なにそれ可哀想」
「このすっかり出来上がっちゃった取り巻き同士の大喧嘩を治めるにはもう、争いの火種自体をなくすしかない。それなら私が死んだことにして近隣の国に亡命しちゃおうかな、と」
「ツンタカアメンは知ってんのか?」
「えぇ。貴方を案内人として副葬することを提案したのは兄ですよ?」
まじか!あの王族がツンタカアメンだったか許さねぇ!!
「設計者に生きたまま埋葬することを匂わせたうえで数年泳がせれば、隠し通路を作るだろう、と。…ねぇ、何かちょちょいと作ったんでしょう?」
「あんたなぁ…簡単に云うが、そんなどストレートな隠し通路を追加するのは無理だからな!?」
「えっ、作ってないんですか?死ぬのに?」
「あのなぁ…お前らがこんな巨大な墓陵を作らせるから、重心とか色々めんどくさい計算をした上で設計されてんだよ!そこに無理矢理隠し通路とかぶっ込んだら何かの拍子に崩れ落ちるかも知れないだろ!?」
「あぁ、十字陵みたいなかんじに」
「あれも子供に作らせるからなぁ…。落成当日に派手に崩壊とか、設計士は打ち首だろうなぁ」
「目の見えない人に仕上げを任せたのも、失敗要因の一つでしょ
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