第48話『深雪』
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ら僕は情報を得るために、あることをしたい」
「あること…?」
「そう。それは・・・」
*
「全く、余計な時間を過ごしてしまった」
ウォルエナを意に介さず、大通りを歩く1人の少年。
彼は銀髪を掻きながら、苛立ちを露わにしている。
「好き放題言って・・・人の命なんて、ボクと比べれば小さいものだよ。それなのに小動物の分際で、ボクに楯突くなんて……」
彼が言っているのは、数十分前に出会った、自分よりも少し年上の少年のことである。
大怪我を負っても、立ち向かってくるその姿は“果敢”そのものであったが、結局はどこかに飛ばしてやった。
まぁそこそこに威力を込めたから、死んでいるかもしれない。
「いいよいいよ、あんな奴は死んで。王に逆らうとどうなるか、思い知らせただけだし」
人の死が関わるのに、彼はあくまで冷静だった。
全ては自分が中心。そう考える少年にとっては、人間の死はちっぽけなものである。
「……ん?」
突然、嗅覚が何かを捉える。
というのも、鬼族は嗅覚が人よりも断然に優れており、敵の察知も早いというもの。今回もそれであった。
「敵意を感じる…。誰だ…?」
歩きを止め、辺りを見回してみる。
しかし、前後は消失点が見えるほどの大通りが伸びるだけで、大した変化はない。
「…所詮、隠れているだけか」
少年はそう結論づけると、再び歩み始めた。
するとその瞬間、背後に影が現れる。
「…っ!」
「妖精散弾!!」
目の前が眩い光に包まれる。
少年はそれから逃れようと目を閉じようとしたが、危険を感じて本能的に先に吹雪を放った。
白い光が眩い光を侵食し、やがて相手に到達する。しかし相手は臆することなく、それを回避して事なきを得た。
その時ようやく、少年は相手の顔を見る。
「…誰だ、キミは?」
「僕はミライ。君に訊きたいことがあるんだけど、時間を頂けるかな?」
青年はニッと笑いながら、そう言った。
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