第48話『深雪』
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記憶を掘り起こし、疑問になっていたことを思い出す。
「あいつ……自分のことを『鬼族』って言ってました。もしユヅキがあいつの姉なら、ユヅキも鬼ってことですよね? でもユヅキは鬼なんかじゃないから・・・」
「止めて、ハルト」
「……え?」
ミライの突然の制止に、晴登は戸惑う。
しかしそれ以上に、ミライは更に困惑しているようで、頭を抱えていた。
「これは、本当にどうなってるんだ…?」
「え、何がですか?」
「いや、何というかだな…」
1人だけ話についていけない、一種の孤独感。
それを感じながらも、晴登はユヅキとミライに問う。
しかし、2人の表情は決して明るいものではなく、2人とも理解が追いついていないのだとわかった。
しかし、その静寂を貫く言葉が1つ。
「・・・ハルト、驚かないで聞いてほしいんだけど…」
晴登は視線をユヅキに向け、次の言葉を待つ。
彼女は微かに逡巡を見せたが、決心したように言った。
「ハルトが言ったことは事実だよ。ボクは鬼の血を引いている」
「……は?」
「だから多分ハルトが見た人物は、ボクと直接関係があるかは別として、ボクの故郷の人だと思う」
衝撃の告白に、目を見開く晴登。驚かずにこれを聞くなんて、正直無理がある。もう何が何だか、正誤が渾然していて理解が不可能だ。
ユヅキが鬼? そんな素振りは一度も見せていない。ただの人間の少女なはずだ。
それに鬼は、アイツの言う通りなら最強の種族なのだ。でもこの3日間で何度かピンチがあったが、ユヅキが鬼の様に強かったから切り抜けられた場面は、正直一度もなかったと思う。
「ユヅキが鬼…? 何の冗談だ?」
「ううん、ハルト。冗談じゃない。ただボクが、鬼であることを隠しているだけ。別にハルトが嫌いとか、そんな理由じゃないんだよ。鬼族は珍しいから、ボクの身を守るためなんだ」
詳しく説明されたところで、晴登の気は晴れない。
ユヅキもこうなることは分かっていたのか、特に二の句は継がなかった。
でもその真剣な眼差しに、晴登は信じざるを得なかった。
「ハルト、ユヅキが鬼という事実はひとまず、呑み込んでくれさえすれば良い。それより、僕に1つ考えがあるんだが・・・できれば、君たちの協力を煽りたい」
「何ですか?」
晴登はミライの言う通り、ユヅキのことはとりあえず、という気持ちで理解した。
それよりも、ミライの提案に奇妙な雰囲気を感じる。
晴登が聞き返すと、彼は突飛なことを語った。
「さっきからの話でわかると思うが、僕たちには情報が足りない。黒幕に目処はついたが、そいつがユヅキとどういう関係なのかも不明瞭だ。だか
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