第48話『深雪』
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み込む。
「ぜひ、お願いします!」
「言われなくとも」
ミライは自信満々に言い、己の力を最大限費やして晴登の治療に掛かった。
*
「・・・という訳だ。君の傷を治したのは僕だが、そもそも君を助けたのはユヅキなんだ」
「そうだったのか…。ユヅキ、ありがとう」
「気にしないでよ。無事で本当に良かった」
「…う、うん。ごめん、心配かけて」
晴登が礼を言うと、ユヅキは笑顔で応える。
そのあまりの眩しさに、晴登はたまらず目を逸らした。
「ところでハルト、さっきの話の続きだが、君が戦った人物のことについて聞かせてほしい。いたんだろ? 君に敵対したのが」
「……はい」
晴登は落ち着いて返事をする。
不思議と、もう心は騒がなくなっていた。思い出しても平気そうだ。
「そうか。僕の見解では、その人物がこの王都の一件の黒幕だと思うんだが……そこのところは分かるかい?」
「ある程度は。俺が会ったのは銀髪の少年でした。ただの避難民と思って接していたんですけど、どうもそうとは思えない発言ばっかで…」
「例えば?」
「『大陸の王になる』とか、『ウォルエナの主人』とか、『ユヅキを捜す』とか・・・」
「え、ボクを捜してるの!?」
自分の名前が突然出てきたことに、驚きを隠せないユヅキ。それはミライも同じであり、冷静な表情が崩れていた。
「その少年とユヅキとの関係は…?」
「…ユヅキの、弟だって言ってました」
「「え!?」」
2人の驚きが重なる。そして2人は顔を見合わせ、何やら目でやり取りをしていた。
「……もう少し、詳しく聞かせてくれるかい?」
「詳しくといっても、俺が聞けたのはこのくらいです…」
「そうか…」
ミライは腕を組み、思考に身を投じる。
その彼の表情は困惑の色が多く、口を開くまでに少々時間を要した。
「…ユヅキ」
「はい…」
「君に弟はいるのか…?」
「え…?」
晴登はミライの質問に驚きを示す。
それもそのはず、「本当はユヅキに弟はいない」という線は疑ってもいなかったからだ。
しかしミライの真剣な表情を見て、水を差す気にはならなかった。
「……いません」
そしてその答えを聞いた時、晴登の思考は混濁していった。
「嘘…だろ!?」
「嘘じゃないよ、ハルト。ボクの家族は母さんと父さんだけ。弟なんて見たことも聞いたこともないよ」
「どういうことだ…? ハルト、そいつは間違いなく『ユヅキの弟』と言ったのか?」
「はい。……あ、でも、少し引っ掛かることが」
「ん?」
晴登は
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