第48話『深雪』
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ニコリと微笑んだ。晴登も苦笑いで返す。
「…ところで、体調はどうだい? 傷の調子とか」
「傷?・・・って、治ってる!?」
突然の話題転換に戸惑いつつも、晴登は自分の現状に気づき驚愕。
なんと大怪我を負っていた左腕と左脚が、綺麗サッパリ傷を消していたのだ。もちろん、痛みだってない。
「どうして…?」
「僕の魔法で治したんだよ。あのままだったら、ユヅキが卒倒しそうだったからね」
「え、あ、ありがとうございます!」
「いいよ、気にしないで。その代わりといってはなんだが、1つ訊いていいかい?」
「…? どうぞ」
急な真面目な顔つきになるミライ。
晴登はその表情に疑問を抱き、とりあえずという気持ちで聞いてみる。
「君の傷痕はウォルエナにつけられたみたいだけど・・・それ以外に、ウォルエナが原因じゃないと思われる怪我があったんだ。それについて、詳しく聞かせてくれないか?」
それを聞いて、晴登はハッとする。そして、脳裏に銀髪の少年が浮かんだ。
ユヅキとの再会の喜びで忘れかけていたが、あいつが全ての元凶である。姉であるユヅキを捜し、そして世界征服を企んでいるのだ。
確か、最後に攻撃を喰らって・・・
「──っ!!」
「ハルト!?」
突如、恐怖の感覚が再び甦る。
何も見えなくて、何も聞こえなくて、何も分からない。五感を全て消し去られて、世界に孤立したような感覚。
それを思い出すと同時に、晴登は激しく震えた。
「そうだ、あの時…俺は、死んだはずじゃ…」
死んだ経験なんてないが、あの時に自分は確実に死んだと思っていた。それなのに、なぜ今こうして生きているのだろうか。
「・・・いや、君はユヅキに助けられたんだよ」
「え…?」
*
「中々進展しないね」
ミライはポツリと呟き、やれやれと首を振った。
晴登の安否が未だに分からないため、ユヅキの様子も芳しくない。
「一度大通りに出てみようか」
「はい」
ユヅキはミライの提案に素直に従い、後ろをついていく。
ちなみに、今の場所は大通りのすぐ横にある道。路地裏ほどひっそりはしていないが、大通りほど賑やかでもない。
まあ、人どころかウォルエナも見当たらないから、不気味な話だ。
「……ん?」
「どうしました?」
「何か…巨大な魔力が近づいてくる…! 大通りには出るな!」
大通りに出る間際、彼は叫んだ。
腕の制止を受け、ユヅキはその動きを止める。
──その正面、轟音と共に激浪の様な吹雪が流れていった。
「え、何、今の!?」
「まだ来るぞ、下がれ!」
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