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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五五話 明るけりゃ月夜
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いるのはそれが理由の一つとなるのは周知の事実だからな。」


 EUに滞在していたころ日本へのEF-2000導入を要求してきた高官等を思い出して肩をすくめる忠亮。
 実際には、それに加え日本固有の技術をライセンス生産の規約。自国運用する際の改修による内容の提供義務を笠に着た日本からの技術獲得がその裏にあるのは明白。

 それもそのはず、EF-2000は不知火やF-22のようなアクティブ・フェーズ・ドット・レーダーを装備してはいない。
 F-15と同世代のパルス・ドップラー・レーダーだ。
 第三世代機としては電子装備が脆弱な部類に入る―――尤も、パッシブ式なら兎も角、アクティブ式となると日本と米国しか実用化には漕ぎつけていない為、其方のほうが標準なのかもしれないが。


「しかし、そうなると難しいね。前線国家は同一の事案を抱えてる。そして、兵器はそういう国家にこそ需要があるけど事実上、米国にその市場は独占されている。」
「ああ、そして不知火弐型は自国運用する分には文句を言ってこないだろうが―――他国へ輸出をするとなれば一々米国の裁可を仰がねばならん。
 一応、F-35の開発に秘密裏に協力していた事でFACOとMRO&Uの設置権は獲得できた、F−35の幾らかのパーツの生産・輸出が可能となるが……それでは来るべき日に於いて足かせとなる。」

「よくあの左翼が湧いていた時期に武器禁輸状況でそこまで米国と交渉できたね。―――こと外交に関して榊首相の腕前には舌を巻くしかないな。」

「名目を変えて幾つもの技術提供を行ってきたからな。俺の此奴と一緒だ。」


 唸る甲斐に向け自身の背中を親指で示す忠亮。
 日本が秘密裏に開発協力してきた技術、それは世界に誇れる技術の一つ材料工学だ、ローテクと呼ばれる類の技術であり地味ではあるが、最新の材料工学による支えがなくては近代工業製品はその構造と機能を維持出来ない。

 そして、高出力ジェットエンジンの肝はどれだけエンジンを軽くし、そして空気をどれほど圧縮出来るか、だ。
 しかし、所詮は機械。どれだけ高度な仕組みを追求しても、その究極系はシンプルイズベストへと帰結する。

 そして、その単純であるがゆえに究極を成す技術はその素材に始終する。この世のあらゆる工業製品の性能限界(ポテンシャル)を決定するのはその素材技術だ。
 古代の動物の骨や毛皮などが銅の刀剣や鎧へ、そして鎧や刀剣が鉄へと進化してきたように。

 人類の文明、兵器の進化はその材料技術の進化でもあると言っても過言ではない。


「尤も此奴は戦術機側も含めて未完成の技術だ。だからこそ手に入れることが出来たが、完成すれば外交的にも軍事的にも大きな力となる。」
「しかし、完成すればそれを寄越せと言ってくるんじゃな
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