暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第百二十二話
[1/12]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 祭り囃子がどこかから聞こえてくる神社にて、俺とキリトは巨大な蛇に遭遇する。神社の内部だというのに自在に動き回るソレに対して、二人のクナイと投げナイフが炸裂した。

「蛇は……熱感知だっけか?」

「匂いもじゃないか?」

「じゃあいいか」

 熱感知だったなら、と用意していた炎を発生させるアタッチメントを再びポケットにしまい込み、キリトとともに一目散に大蛇から逃げていく。しかしクナイと投げナイフでしっかりヘイトを取った大蛇は、もちろんこちらを追いかけて来ているようで。

「よし……っと!」

「ショウキ、ここら辺りで大丈夫だ」

 襖を蹴破って境内に出ると、キリトの合図で立ち止まった地点で大蛇を待ち構える。俺たちが背にしていた広間には、クロービスが遺したスリーピング・ナイツの『記録室』がある。そんなところで戦うわけにはいかないし、スリーピング・ナイツのメンバーは今まさに、仲間の遺したものに触れている。

「キリトは……会ったのか? 幽霊」

「……ああ。昔、助けられなかった子に」

 あまりにも早い勢いで逃げてしまったのか、大蛇がこちらに襲いかかってくるまで数瞬の時があった。その間にあの『幽霊』のことを聞いてみると、顔を伏せたキリトから予想通りの回答が返ってきた。わざわざ誰と会ったかなどとは聞かないが、きっとあのデスゲームで後悔する別れ方をした者だろう。

「ショウキは、アレが何なのか……聞いてたりするか?」

「ああ。クロービスから、聞いたよ」

 狐面のNPCの少年が言うには、あの幽霊はアルバムのようなものだと。もちろん本物の幽霊などではなく、こちらの記憶を読み取って出現する、ただのデータで出来た構成体に過ぎない――のだろう、これはあくまで俺の予想だが。

「アルバム、か……それでも。それでも……会えてよかった」

 キリトの感情がこもった独白とともに、話は終わりだとばかりに大蛇が境内に襲来する。どうやら俺とテッチがいた地下通路は、この大蛇の住まいだったらしく、地下へと大蛇の胴は続いていた。全貌を見せればさらに巨大なものなのだろうが、今は身体の半分以上が未だに地下に埋まっている。

「いくぞ!」

「ああ!」

 それでも俺たちとは比べ物にならない身体の巨大さだったが、ならばこそ、これ以上に全貌を現す前に叩く。キリトの号令のもとに彼は二刀流を構え、俺はまずこちらに首を向けている大蛇に接近する。

「セイッ!」

 神社から首を出しているような大蛇の第一打は、こちらへの氷結ブレス。触れたもの全てを氷像にしかねない冷気を持つブレスに、鞘から飛び出した抜刀術の一撃が立ちはだかった。その鋭い刃はこちらとブレスの間に真空を作り出し、氷結ブレスをも斬り払ってみせた。

「キリト!」
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ