第百二十二話
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――そして今から起こらんとしていることを、物陰から見つめる狐面の少年がいて――
「やああぁぁぁぁぁっ!」
――放たれる、もはや説明不要の九連撃ソードスキル。彼女のみが放つことの出来る閃光そのものの斬撃に、最後の大蛇の首も屈服してポリゴン片と化していた。しかもそれだけではなく、全ての首を失ったからか、《ヤマタノオロチ》全てがこの世界から消滅していく。
「え」
――しかしそれは、ラストアタックを見事決めてみせたユウキにとって、少し計算外な事態だったらしく。どうやら倒した大蛇に着地して、そのまま大蛇の顔から胴体を滑り台の要領で降りてくる予定だったが、肝心の大蛇の首はポリゴン片となって消えてしまった。
「ひゃぁぁぁぁぁぁ!?」
そうなるとまたもやユウキは空中に投げ出されて、先程も聞いたような気がする悲鳴が世界に響き渡った。翼のないこの世界では重力に逆らうことは出来ず、そのまま大地に向かって自由落下していく。
「あ、タルケン。もうちょっと後ろ」
「はい」
「よっと!」
それを向こうにいたスリーピング・ナイツのメンバーが無事にキャッチし、ユウキは何とか事なきを得たようだ。それとともに俺たちを囲んでいた《幽霊囃子》も消えていき、《ヤマタノオロチ》の分も併せて、ポリゴン片がまるで芸術作品が如く美しく天に舞う。
「……なあ」
かつては『死』の象徴でしかなかった、仮想空間のポリゴン片に対しても、まるで花びらのように舞う美しい様に言葉を失ってしまう。そんな景色にどこかおかしくなって苦笑すると、その《幽霊囃子》に混じっていた『彼女』に声をかけた。
「見ての通り、こっちは楽しくやってる。だから……だから、さ」
『彼女』はデスゲームでの最中と同じように、ヒマワリのような笑みを見せてこちらを眺めていた。もちろんアレは本物の『彼女』ではなく、俺の記憶の中にあるアルバムのようなものにすぎない――が、そうだとしても。
「だから……助けてくれて、ありがとう……アリシャ」
何を言ったものか迷ったけれど。結局、勝手に口から出て来たのは感謝の言葉だった。あのデスゲームで彼女に命を救われていなければ、俺は確実にこの世にはいない。そう、祈りを込めて感謝すると、次の瞬間にはもう『彼女』の姿はどこにもなく。
「……ありがとうな……」
「ショウキさん?」
天に昇っていくポリゴン片を見上げていると、後方で支援してくれていたシウネーが不審げに話しかけてきていた。確かに端から見れば、いきなり空に向かって感謝するという、危ない奴そのもので。誤魔化すような苦笑いを浮かべると、シウネーもどこか察したような表情を作る。
「ありがとうございます。先程は助けていただいて」
「い
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